東北地方の多雪地において、大型獣の分布回復が近年顕著である。本研究では、これら獣種の採食に伴う攪乱に注目し、①攪乱頻度に及ぼす環境条件の特定、②攪乱が多種共存にもたらす影響の評価、③過度な攪乱に対する管理コストの算定、に取り組んだ。その結果、①サルの採食が植物個体レベルに及ぼす影響は限定的である一方、群集レベルでは好適な餌食物を増加させる機能を持つこと、②イノシシの掘り起しはブナ林の下層植生に対して負の影響をもたらす一方で、高齢人工林には正の影響をもたらすこと、③シカの採食圧の影響は広域的に徐々に累積し、その攪乱の管理コストは今後急速に高まること、などが明らかになった。
|