研究課題/領域番号 |
20K06090
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐伯 いく代 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70706837)
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研究分担者 |
石井 弘明 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50346251)
東 若菜 神戸大学, 農学研究科, 助教 (20780761)
長田 典之 名城大学, 農学部, 准教授 (80400307)
太田 民久 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60747591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 林冠生態系 / 生物多様性 / 生物群集 / 遺伝子解析 / 人為攪乱 / 森林 / 屋久島 / ヤクスギ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、屋久島のヤクスギ林を対象として、林冠生態系の生物多様性の特徴とそれが維持されるのに必要な物質の動態を調査し、これらが森林伐採などの人為的攪乱によってどのように変化するのかを明らかにすることである。しかし初年度にあたる2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査やサンプル採集などを予定どおり実施することが困難であった。特に、緊急事態宣言や県をまたいでの往来を自粛すべき期間などがあり、調査地である屋久島に、調査チームを組んで訪問することが難しい1年であった。しかし、感染者数が比較的低く抑えられていた時期に、調査地を短期間訪れることができ、予備的な調査を実施することができた。まず、調査対象とするヤクスギ個体の位置や状況を確認し、周辺の植生の状況や、調査対象生物の一つである陸産貝類の生息状況を確認した。現地を訪問した際には、予備調査として、ヤクスギが生育する地点の土壌からリターとAo層のサンプルを採集し、ツルグレン法によって土壌動物の抽出を行った。抽出した土壌動物群集は実験室でエタノールに固定し、DNAを抽出した後、ミトコンドリアDNAのシトクロームオキシダーゼサブユニットI(COI)領域を対象としてDNAメタバーコーディング解析を実施した。その結果、全体で178種類の塩基配列(OTU;Operational taxonomic unit)を検出した。これらの配列をすでに公開されているDNA塩基配列情報のデータベースと比較したところ、トビムシ目、ダニ目、ハエ目、甲虫目、鱗翅目、ナガミミズ目、クモ目など、7つの目にわたる無脊椎動物のデータと相同性の高い配列であることが明らかにされた。次回の調査ではこうしたデータを林冠からも取得し、地表との比較を実施したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査やサンプル採集などを予定どおり実施することが困難であった。特に、緊急事態宣言や県をまたいでの往来を自粛すべき期間などがあり、調査地である屋久島に、調査チームを組んで訪問することが難しかった。そのため、研究の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の状況に留意しつつ、計画していた現地調査やサンプル採集などを確実に実施できるようにしたい。初年度の予備調査から、現地の状況の把握はできており、またサンプル採集および解析実験の手法も確立されつつある。こうした成果を活かしながら、今後の研究につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査やサンプル採集などを予定どおり実施することが困難であった。特に、緊急事態宣言や県をまたいでの往来を自粛すべき期間などがあり、調査地である屋久島に、調査チームを組んで訪問することができなかった。そのため、旅費や、サンプル分析などにかかる費用が余り、次年度使用額が生じた。初年度にできなかった調査を翌年度に実施する必要があるため、その費用に使用する。
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