研究課題/領域番号 |
20K06091
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
芹澤 如比古 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80408012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 河川生態系の侵略的外来種 / 水生植物 / 淡水藻 / 河川環境 |
研究実績の概要 |
山梨県内の55河川80地点において,水草,大型藻,河川域における侵略的外来植物12種(国土交通省が定める河川生態系において影響・被害の大きい外来植物および対策を優先すべき外来植物:ボタンウキクサ,ホテイアオイ,シナダレスズメガヤ,イタチハギ,ハリエンジュ,アレチウリ,オオカワヂシャ,オオブタクサ,オオキンケイギク,オオハンゴンソウ,ナルトサワギク,セイタカアワダチソウ)の分布と生育環境(水温,電気伝導率,塩分,濁度,pH,河川敷幅,流路幅,流速,CO2濃度,緯度経度,標高)の現地調査を行った。 本調査により山梨県からボタンウキクサ,ホテイアオイ,オオハンゴンソウ,ナルトサワギクを除く侵略的外来植物8種が確認され,出現地点数の多かったオオブタクサ:42河川62地点,セイタカアワダチソウ:40河川56地点,ハリエンジュ:36河川51地点,アレチウリ:27河川48地点は優占種と判断された。水草は上述のオオカワヂシャを除き31種確認され,出現地点数の多かったツルヨシ:46河川63地点が優占種と判断された。特定外来生物のオオフサモが1地点で確認された。大型藻は23分類群が確認され,出現地点数の多かったシオグサ属:35河川40地点とサヤミドロ属:33河川40地点が優占種と判断された。絶滅危惧Ⅱ類のオオイシソウと準絶滅危惧のタンスイベニマダラがそれぞれ1地点で確認された。 種組成によるクラスター解析の結果,本調査地点は大きく4つのグループに区分され,侵略的外来植物の平均確認種数が多かったグループDには水草や大型藻が確認されなかった地点が含まれ,ほとんどの地点が甲府盆地に集中していた。また,水草・大型藻の多かったグループBはほとんどの地点が峡南地域の富士川かその近傍に集中しており,他のグループに比べ,水温,塩分,EC,pHの平均値はやや高く,標高や流速はやや低いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水草・大型藻類の分布調査と環境調査についてはほぼ終了した。光合成の測定実験におけるパルス変調蛍光測定装置による光合成活性の測定結果と,酸素ガスの検量計であるプロダクトメーターでの測定値との整合性を図るための補正が完了しておらず,対象種の光合成特性はまだ解明できていない。よって栽培条件が未定のため,栽培実験を開始していないことから進捗状況を「おおむね」とした。
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今後の研究の推進方策 |
水生植物の植生調査を進める過程において,河川生態系への侵略的外来植物の侵入が深刻な状況であることがわかったため,調査対象に侵略的外来植物も加えて植生調査を行なった。侵略的外来植物の分布状況に関するデータについては早急に情報を公開し,山梨県などにも情報を提供して行く。国内の淡水産大型藻についても情報が少ないため,本研究で得られた情報はできるだけ早く公開する。また,パルス変調蛍光測定装置による光合成活性の測定結果と,酸素ガスの検量計であるプロダクトメーターでの測定値との整合性を図るための実験を進め,対象種の光合成特性を解明し,その結果から栽培条件を決定して栽培実験を行い,本研究で明らかに出来たことの総括を行う。
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