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2022 年度 実績報告書

自然生態系と連続した土地利用はハビタットの質を引き継ぐか?

研究課題

研究課題/領域番号 20K06096
研究機関東京都立大学

研究代表者

大澤 剛士  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (40554332)

研究分担者 大西 亘  神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (00588270)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード水田 / 湿地 / 地形解析 / 圃場整備
研究実績の概要

水田は湿地環境である一方、人間による改変を受けた土地利用形態の一つでもあるため、その由来には自然湿地から、もとは森林であった場所、乾燥地であった場所等、湿地とは大きく異なる環境が大きく改変されたものまで様々なものがありうる。本研究は、もともと湿地であった場所に成立した水田は長期的に湿地が維持されている状態に近く、湿地性植物のハビタットとしての質が高いという仮説を検証することを目的として実施した。

2022年度は、前年までに確認された、もともと湿地である水田であっても圃場整備によって湿地ハビタットとしての質が大きく低下するという予測を、現地調査および標本採集記録によって検証した。その結果、予想どおり圃場整備を経験した水田では、地形解析によって推定した由来(もと湿地か否か)に関わらず、湿地性植物が大きく減少し、外来生物を含む乾燥地を好む種に入れ替わっている傾向が強いことが示された。さらに、神奈川県全域を対象に、水田の規模と由来の関係を1kmメッシュ単位で検討したところ、大規模な水田は川沿いの氾濫原に立地する傾向が強いこと、すなわち、もと湿地である可能性が高いことが示された。しかし、これと同時に圃場整備率との関係を検討したところ、大規模な水田は圃場整備率が高い傾向が示された。この結果として、本来的に湿地ハビタットとしての質が高いと考えられる水田ほど、圃場整備というハビタットの質を大きく低下させる人為改変を受けているという予想外の駆動因が存在している可能性が示唆された。

研究期間を通し1)仮説どおり、もともと湿地であった場所に成立している水田は湿地ハビタットとして高い質を持つこと、2)ただし、そういった水田の多くは大面積であるため、農作業の効率化を目指す圃場整備が優先的に行われ、期せずしてハビタットの質を大きく低下させている側面があることが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 東京都多摩地域南部におけるゲンジボタル <i>Luciola cruciata</i> の生息に及ぼす過去の土地被覆の影響2023

    • 著者名/発表者名
      浮田 悠、佐藤 臨、大澤 剛士
    • 雑誌名

      保全生態学研究

      巻: advpub ページ: -

    • DOI

      10.18960/hozen.2219

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Large, concealed islands in the urban sea: Scattered surrounding green space enhances the quality of grassland habitats in urban parks, Tokyo2022

    • 著者名/発表者名
      Ohata Seiichiro、Osawa Takeshi、Sato Nozomu、Tsutsumida Narumasa
    • 雑誌名

      Urban Ecosystems

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s11252-022-01311-x

    • 査読あり
  • [学会発表] 保全、教育、研究、交流の場となる大学敷地内の緑地2023

    • 著者名/発表者名
      大澤剛士、加藤英寿
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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