本研究の学術的意義一つは,生態的光害において最重要課題とされる昆虫の光誘引という問題に対して,「誘引後の時間的な視点を与える」ことにある.より直接的な社会への貢献としては,屋外照明の適切な使用指針を具体的に提示することが挙げられる.例えば我が国では,環境省の「光害対策ガイドライン改訂版」などが存在するが,生態的光害については,その内容や対策手法について十分な検討がなされていない.本研究が進められることで,昆虫の生態的光害に関して,対象分類群毎の適切な点灯消灯スケジュールといった具体的提言が可能となる.
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