研究課題/領域番号 |
20K06098
|
研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
福永 健二 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (50435533)
|
研究分担者 |
阿部 陽 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 主席研究員 (80503606)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | アワ / ゲノム / リシークエンシング / 組換え近交系 / 栽培化 / SNP / 遺伝的多様性 / トランスポゾン |
研究実績の概要 |
日本品種と台湾品種の組換え近交系(RILs)90個体について、flexible ddRAD-seqを用いて連鎖地図作成を行った。刺毛関連形質(stb)、茎の色、出穂期のQTLについて解析を行ったところ、原因遺伝子を絞り込むことができた。茎の色については赤から緑への変異は同じ遺伝子の異なる位置への異なるトランスポゾンの挿入により並行的に何度も起こっていることが明らかとなった。これについては、現在、多くの品種で原因となっている遺伝子の解析を行っているところである。また、出穂期についても出穂期をドラスティックに変える遺伝子とその原因となるトランスポゾン挿入を発見した。100品種について解析したところ、この遺伝子にトランスポゾンを持つものは熱帯・亜熱帯に多いことが分かった。本結果の一部は学会発表済であり現在、論文の投稿準備中である。 また、日本品種と世界の代表的な在来品種、200品種についてはflexible ddRAD-seqによりデータを出したところである。これについては主成分分析がSTRUCTUREにより系統関係や集団構造の解析を行っていく予定である。これについては、本結果を受け100品種以上のデータを追加する予定である。 個別には脱粒性の遺伝子SvLes1についても変異の解析を行っている。既報にあるような本遺伝子へのトランスポゾン挿入はすべての品種がもつわけではないことが明らかになった。この結果についても国際誌Genetic Resources and Crop Evolutionに発表するとともに学会発表を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組換え近交系(RILs)についてflexible ddRAD-seqにより詳細な連鎖地図を作成し、刺毛関連遺伝子(stb1)、茎の色の遺伝子、出穂期のもっともメジャーなQTLについて同定することができた。また、200品種についても同様な方法でデータを出すところまで終了しておりこれから解析するところである。さらにいくつかの品種についてはNanoporeシークエンシングによりリシークエンシングをしている。また、既に報告されている脱粒性遺伝子についても131品種における多様性を調査しており、国際誌に論文を発表している。目標に対してかなり順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通り、200品種のddRAD-seqのデータを主成分やSTRUCTUREで解析していく。また100品種以上データの追加を行う予定である。形質関連遺伝子についてもより多くの品種で調査していく。さらには、代表的な品種のリシークエンシングを行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
Covid19の影響により出張がなくなったこと。flexible ddRAD-seqの経費が予想よりかからなかったことなどで理由である。
|