研究課題/領域番号 |
20K06100
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高田 達之 立命館大学, 薬学部, 教授 (90206756)
|
研究分担者 |
西江 友美 立命館大学, 薬学部, 助教 (30784524)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 琵琶湖固有種 / ホンモロコ / ゲノム編集 / rag2 |
研究実績の概要 |
ゼブラフィッシュ卵とゲノム編集を行ったF0ホンモロコ精子を用いてハイブリッド胚を作成することにより、実際のF1作成前にrag2の機能欠失変異の解析とその変異の次世代への伝達効率が良いオス(F0)の選別が行えることが明らかとなった。選抜したF0オス精子とWTホンモロコ卵との人工授精により、F1を作成した。このF1の中からHeteroduplex mobility assay (HMA)によりrag2の機能欠失変異を有するrag2(+/-)F1を選抜育成した。その後、日照時間と水温を変化させて室内環境下で人工的に性成熟を促進した(人工催熟)。その結果、精子を生産するオス個体rag2(+/-)が得られ、実験室内環境下で性成熟が可能であることが示された。本研究により、琵琶湖固有種ホンモロコにおいてもヘテロrag2(+/-)が作出でき、性成熟までの生存が可能であることがわかった。さらに精子を用いたHMAにより、精子もrag2(+/-)の機能欠失変異を有することを確認した。しかし卵子を生産するメスrag2(+/-)は得られなかった。一方で第一世代F0(rag2変異モザイク)のメスの性成熟が確認されたため、このメスから卵子を採取し、ヘテロF1(rag2(+/-))オス精子と人工授精し、両アリルにrag2の機能欠失変異を有する個体作出を行った。育成途中で死亡した奇形胚のrag2のシーケンス解析により、両アリルでrag2の機能欠失変異を有する個体が存在することを確認した。現在これらを育成中であり、そのrag2変異を解析予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼブラフィッシュ卵を用いたハイブリッド作成により、モザイク個体のrag2の機能欠失変異とその伝達頻度が実際のF1作成前に解析可能となった。これを利用して、rag2の機能欠失変異をヘテロに有するF1個体が作出できた。また、実験室内環境下で人工的に性成熟を誘導し、精子を生産する個体が作出できた。本研究により琵琶湖固有種ホンモロコにおいてもヘテロrag2(+/-)が作出でき、性成熟までの生存が可能であることがわかった。また、両アリルでrag2の機能欠失変異を有する個体が存在することを確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
両アリルでrag2の機能欠失変異を有する個体が生存できることを確認する。もし生存が困難であれば生存しやすい変異、またそれらの組み合わせがないかをスクリーニングする。両アリルでrag2の機能欠失変異を有する個体の生存が難しければヘテロ個体rag2(+/-)での利用を考える。 メスを人工的に性成熟を誘導する方法を検討する。またrag2において同一な機能欠失変異を両アリルでホモに有する個体rag2(-/-)の作出を試みrag2の発現をリアルタイムPCRで確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
半導体不足で購入予定の機器が生産されず、納入されなかったため。 2022年度に当該機器の購入を行う。
|