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2022 年度 実施状況報告書

屋敷林「イグネ」の機械学習を用いた空間解析と三次元気流解析による機能評価

研究課題

研究課題/領域番号 20K06104
研究機関東北大学

研究代表者

米澤 千夏  東北大学, 農学研究科, 准教授 (60404844)

研究分担者 園田 潤  仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (30290696)
大風 翼  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40709739)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードリモートセンシング / 空中写真 / 深層学習 / U-Net / 風速 / 風環境解析 / 防風機能 / 合意形成
研究実績の概要

対象地域を観測した空中写真にU-Netを適用することにより屋敷林を抽出する手法を開発し、その有効性を検討した。U-Netは畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network, CNN)をベースにしたセマンティックセグメンテーションのモデルのひとつであり、画像からの対象物の抽出に利用されている。屋敷林が含まれない画像を含むデータセットと、屋敷林が含まれる画像のみのデータセットの2つの場合を比較した。屋敷林が含まれる画像のみのデータセットを用いた場合、精度の指標となるDice係数は75%となり、屋敷林が含まれない画像を含む場合よりも0.15ポイント向上した。屋敷林の抽出のためにU-Netはある程度有効であるが、学習精度を向上させるためには使用するデータセットに注意を払う必要がある。
屋敷林が住居周辺の風環境に及ぼす影響について調べるため、構成する葉面積密度の大きい低木と、葉面積密度の小さい高木を個々に再現した解析を実施した。屋敷林により敷地内の平均風速は1/3程度となり、低木+高木の弱風域の長さは、低木のみと比較して2倍程度となった。
大崎耕土を構成する大崎市、美里町、加美町、色麻町の行政担当者へのヒアリング調査を実施し、既存文献を参考に、屋敷林保全に向けた課題を整理した。市町の担当者が考えている屋敷林のメリットのひとつに、他地域の先行研究でも指摘されているような防風・防雪、山菜等の食料確保のほか、生物多様性保全機能の強化があった。屋敷林の保全に対する市町の対応として、大崎市では屋敷林管理のための助成金を設置しているが、他の町ではこのような補助等はおこなわれていなかった。屋敷林は私有財産であることから、地域として保全するうえでの合意形成の困難さが課題であることが共通していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大崎市との成果共有については、10月に開催された「世界農業遺産「大崎耕土」認定5周年記念フォーラム」で画像解析と風環境解析に関する研究成果をポスターで紹介した。ただし、初年度にはじまった新型コロナ感染症の流行、2年目には調査予定日の直前に地震の発生、といった不測の事態によって予定していた現地調査が十分にできなかったことの影響が残り、広域での屋敷林の防風機能評価には至っていない。また、U-Netにより屋敷林を抽出する手法を開発したが、十分な精度が得られるに至っていないことから「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

リモートセンシング画像から屋敷林を抽出する手法については、パラメータの検討等によって精度の向上を試みる。衛星画像を対象としたサポートベクターマシン等の画像分類手法の適用も検討する。三次元気流解析においては、広域における屋敷林の防風機能評価について検討する。特定の集落を対象とした防風機能にまつわる現地観測と解析をおこなう。大崎市世界農業遺産未来戦略室とは引き続き情報交換をおこない、研究成果の還元につとめる。

次年度使用額が生じた理由

国際学会での成果発表をおこなったが、新型コロナ感染症対応のためオンライン開催であった。研究協力者による調査を実施したが他の業務による出張と兼ねたため旅費が不要となった。2023年度の使用計画としては、現地調査のための旅費と衛星画像の購入を予定する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ラージ・エディ・シミュレーションに基づく大崎耕土の居久根による農村住居周辺空間の風速低減効果の検討 システム農学2022

    • 著者名/発表者名
      南健斗、大風翼、米澤千夏
    • 雑誌名

      システム農学

      巻: 38 ページ: 37-42

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 抗力項のみを考慮した 0 方程式 LES で定式化される植生キャノピーモデルの 歩行者空間における風環境予測への適用性の検討2022

    • 著者名/発表者名
      南健斗、大風翼、米澤千夏
    • 雑誌名

      風工学研究論文集

      巻: 27 ページ: 19-27

    • DOI

      10.14887/windengresearch.27.0_19

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Windbreak Forest, Based on K-Means Clustuering of Spot6 Imagery2022

    • 著者名/発表者名
      Chinatsu Yonezawa; Yumi Miura
    • 雑誌名

      Proceedings of IGARSS 2022 - 2022 IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium

      巻: - ページ: 6232-6235

    • DOI

      10.1109/IGARSS46834.2022.9883262

    • 査読あり
  • [学会発表] 屋敷林「イグネ」を地域として保全するための課題と考察-宮城県大崎地域を事例に-2022

    • 著者名/発表者名
      國井大輔、米澤千夏、大風翼、南健斗
    • 学会等名
      ステム農学会2022年度大会 シンポジウム・受賞講演・一般研究発表会
  • [学会発表] 数値流体解析に基づく大崎耕土の居久根を構成する低木及び高木による防風特性の検討2022

    • 著者名/発表者名
      南健斗、大風翼、米澤千夏
    • 学会等名
      システム農学会2022年度大会 シンポジウム・受賞講演・一般研究発表会
  • [学会発表] A PRELIMINARY STUDY FOR EXTRACTING WINDBREAK FOREST FROM AERIAL PHOTOGRAPHS USING A DEEP LEARNING APPROACH IN MIYAGI PREFECTURE, JAPAN2022

    • 著者名/発表者名
      Chinatsu YONEZAWA , Takashi OKUBO
    • 学会等名
      International Symposium on Remote Sensing 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 大崎耕土の居久根の防風植栽としての価値の定量化 その1 葉面積密度の分布を考慮したLarge-Eddy Simulation2022

    • 著者名/発表者名
      南健斗、大風翼、米澤千夏
    • 学会等名
      2022年度日本建築学会大会(北海道)学術講演会
  • [学会発表] EXTRACTION OF IGUNE, A TRADITIONAL JAPANESE WINDBREAK FOREST, BASED ON K-MEANS CLUSTUERING OF SPOT6 IMAGERY2022

    • 著者名/発表者名
      Chinatsu YONEZAWA , Yumi MIURA
    • 学会等名
      IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium
    • 国際学会
  • [備考] 東北大学農学部 リモートセンシング&GIS

    • URL

      https://www.facebook.com/remotesensgis/posts/914786716112390

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公開日: 2023-12-25  

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