研究課題/領域番号 |
20K06113
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
嶽山 洋志 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (40344387)
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研究分担者 |
赤澤 宏樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (30301807)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童福祉施設 / 屋外空間 / 児童発達支援 / 地域交流の拠点 |
研究実績の概要 |
今年度もコロナ禍にあって米国のSchoolyardの調査が難しかったことから、教育施設や福祉施設の屋外空間を教育や子育てに加え地域交流にも活用する以下の研究に取り組んだ。特にコロナ禍におけるインクルーシブや社会正義というキーワードの高まりを受け、本研究においても児童発達支援センターなど福祉施設の屋外空間に注目した。 まず1点目は、社会福祉法人太陽会が運営する「しょうぶ学園」と「アムアの森」の2施設におけるランドスケープデザインについてで、利用者の欲求(花が咲くことが不自然(普段と違う)と捉える利用者が花を摘むなど)に対応すべく、山採りした苗木をランダムに植栽した、自由に摘んだり切ったりして良い雑木の庭を設けていたり、利用者の欲求によって作り変えることが出来るツリーハウスなどの手作りの環境が備わっていたりするなど、さまざまな変化に柔軟に対応可能なランドスケープとなっていることが特徴としてうかがえた。また地域への開放については「まちの中では、何この人?と許されないことでも、施設の中にまちの人がくれば、まちの人は一生懸命にその人を理解しようとする」など、地域交流の拠点として福祉施設が機能することが明らかとなった。 2点目は、ASD児(自閉症スペクトラム障害児)を対象にした児童発達支援センターの屋外空間についてで、海外の研究レビューを行うとともに、アンケート調査を通じてASD児が好む遊びと園庭環境の整備状況を把握するとともに、ASD児が好む遊びを支える園庭環境のあり方および今後求められる環境整備について検討することとした。結果、児童発達支援の園庭は砂場や遊具を中心とした感覚刺激に富んだ環境であることがわかった。一方、まだ整備は多くないものの、扱いの自由度が高い雑草や摘んでも良い草花、多様な体験を提供してくれる樹木も、ASD児に好まれる要素であることが伺えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり米国での調査が困難であったこと、特に米国の小学校の視察が出来なかったことから、十分な成果が得られないと判断し、2023年度に延期することとした。
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今後の研究の推進方策 |
ようやく新型コロナウィルスが落ち着き、渡航可能な状況となったことから、米国Schoolyard Parkの現地ヒアリングを集中的に実施する。具体的には、Trust for Public Landへのヒアリングと、米国ニューヨーク、フィラデルフィア、ニューアークのSchoolyard Parkの現地視察を可能な範囲で実施する。また国内のコミュニティスクール事業に関する調査も同時に行い、アンケート調査を中心に再整備の状況、学校や地域コミュニティによる利用状況や管理実態などを把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあって米国Schoolyardの団体ヒアリングや視察が出来なかったため。
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