研究課題
小型のボイスコイルと圧電素子からなる携帯型の振動測定装置を製作し、市販の加振器とレーザドップラー振動計を用いた装置と同等の特性が測定できることを確認した。直径100mm長さ250mmの杉の丸太に直径の異なる貫通空洞を加工した110本の試験体の中央部の振動を測定したところ、空洞の有無と直径に対応した特徴的な共振ピークが現れた。これらの振動スペクトルを人工知能に入力して空洞の有無を判定したところ、直径50mmの空洞を持つ試験体の判定正答率は85%であった。倒木の恐れがある大きな空洞を持つ樹木を振動測定から人工知能を用いて判定できる可能性を示した。松山市城山公園、東温市森の交流センターなどでおよそ20種類36本の樹木を測定して、樹種、直径、振動スペクトル、断面画像データの収集を開始できた。また、建築用正角材の人工乾燥で生じる表面から見えない内部割れの大きさの非破壊測定のニーズがあり、本手法を応用展開した。内部割れの大きさが異なる杉105mm正角材290本の木口から同じ位置の振動を測定したところ、内部割れの大きさに対応した特徴的な共振ピークが現れた。これらの振動スペクトルを人工知能に入力して内部割れの大きさを判定したところ、大きな内部割れを持つ試験体の判定正答率は100%であった。構造強度に影響を与えるような大きな内部割れを振動測定から人工知能を用いて判定できる可能性を示した。さらに、従来正角材の断面画像から内部割れの深刻度を判定する場合に、熟練した人間が内部割れの位置や長さ、面積などを考慮して判定するなどの大きな労力がかかっていた。新しい人工知能手法を応用することによって、105mm正角材の内部割れ以外にも年輪や節なども含んだ断面画像64枚から内部割れの深刻度だけを精度87%で自動判定できた。正角材の品質評価における人間の作業負担を大幅に軽減できる可能性を示した。
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