令和3年度は春季に着葉が開始した時期に前年度と同じく数日おきに地上レーザースキャン測量を行い,着葉した葉バイオマス量の推定を行うとともに,強制振動試験,曲げ試験を実施し葉量増加による振動特性の変化を評価することを計画していた。 前年度開発した振動計測システムを実際に試験木に取り付け振動計測を可能にするために改良する必要があったため,まずその改良に取り組んだ。前年度に開発したシステムは,マイコンボードと3軸加速度センサーによるサンプリングレート400Hzでデータ記録可能なスタンドアローン型計測システムである。これを,樹高2mごと立木樹幹に取り付けて多点同時計測を行うが,そのためには各計測システムを同期させる必要がある。そこで,令和4年度は,まずこの同期システムを検討し,赤外線リモコンによる計測制御システムを開発した。 並行して,立木に曲げ荷重をかけ強制振動を与える方法(以降曲げ試験)について検討した。立木樹高の根元から40%の位置で横もしくは斜め下に曲げ荷重をかけ,所定の負荷をかけたところで負荷を急速に開放する機構を開発した。この方法により,林内において,機械力を用いなくても任意の負荷をかけることおよび常に同じ負荷を繰り返しかけることが可能となった。 改良した振動計測システムと確立した曲げ試験法により強制振動を与えその際に発生する立木樹幹各部の振動の計測に成功し,樹幹下部と樹幹上部で発生する振動モードの差を確認することができた。
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