自然条件下にある立木は風を受けると葉や枝がしなり,強風下では枝葉に加えて樹幹全体がしなり反発し振動する。立木の振動現象の動力学的解析は意外にも明にされておらず,i)「立木そのものの振動の特性はどのようなものか?固有振動は有するか?」,ii)「自然条件下では立木はどのように振動するか?」,iii)「振動の発生源である枝や葉は制振機能を有するか?」,iv)「枝葉の状態が変化することで振動特性はどのように変化するか?」といった疑問が残されたままである。本申請課題では,①風や強制振動を受けた際の立木を構成する各部および立木全体の振動特性の解明,②立木樹幹の振動特性に及ぼす枝葉の影響の解明に取り組み前述の疑問に答えることを大目的とした。 この実現のためには立木各部位に生じる振動を同時に計測する必要がある。しかしながら,一般に,多数の部位の振動を同時に計測しようとすると観測システム全体では高額なものとなり,複数の立木で同時にそれを行うとなるとさらに費用を要することになる。 そこで,立木に生じる振動を各部位で同時に計測し,立木の振動特性を明らかにするために欠かせない立木の振動を多点で同時に計測する安価なシステムを開発した。 また,枝・葉の影響を確実に評価するためには同じ振動を発生させて比較するのが確実な方法であるが,自然条件下での主に風によって発生する振動では振動をコントロールするのが困難である。そこで,現地の立木に常に一定の強制振動を与える手法を開発した。
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