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2020 年度 実施状況報告書

差分で解明する2高度フラックス観測による森林上空のイソプレン酸化過程

研究課題

研究課題/領域番号 20K06131
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

深山 貴文  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353875)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード森林 / イソプレン / コナラ / 化学発光法 / フラックス / オゾン / 超音波風速計 / 微気象観測
研究実績の概要

本年度はイソプレンフラックス観測システムの開発を行った。初めに超音波風速計とプログラマブルデータロガー、電磁弁、テドラーバッグ、赤外吸光方式二酸化炭素濃度計、ポンプ等を組み合わせて簡易渦集積(REA)法フラックス観測システムを開発した。これを2組用意し、森林の樹冠上に達する足場タワーの上で並行観測を実施し、同時に正常に観測できることを確認した。また、この観測システムにイソプレン計に自動で通気するための自動流路切り替えシステムを付加して動作確認を行った。次にチャンバー法観測システムとして、空気圧でシリンダーを動作させて蓋を自動開閉させる土壌チャンバーと葉群チャンバーを開発し、正常に動作するように調整した。さらに、これまで野外観測が困難であったイソプレン濃度を連続測定するため、化学発光法イソプレン計(ジェイ・サイエンス製)を導入した。これは一定時間、常温の吸着材にイソプレンを含んだ大気サンプルを通気してイソプレンを吸着材の中で濃縮した後、ヒーターでこれを急速に加熱することでイソプレンを脱離させ、オゾン発生器(エコデザイン製)の高濃度オゾンと反応させて発光させる化学発光法を利用している。この測器で好感度分析できる最適な分析条件を検討した後、検量線を作成し、その線形性を確認した。続いてこの測器を用いてコナラの周辺の大気中に含まれるイソプレン濃度を測定した。その結果、明瞭な日変動が観測され、化学発光法がイソプレンの野外観測において有効な観測手法となりうることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響で国内外からの部品の納入が滞り、観測システムの製作が予定よりやや遅れている。また、野外観測を目的とした他府県への出張についても緊急事態宣言の際に延期する例があり、実測データを用いた検証が予定よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

森林におけるイソプレンの酸化過程を解明するため、イソプレンフラックスとオゾン濃度の野外観測を開始する予定である。イソプレン計の分析をさらに高速化する必要があるため、分析条件をこれに向けて最適化する。また、コロナウイルスのまん延で緊急事態宣言が発出されて他府県への出張が困難になった場合は、当初予定していた観測候補地を変更して対応する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により計測器の納入が遅れたことで、検証実験に入る時期がやや遅れたため、次年度に必要な物品を購入する予定である。また、当初予定していた出張と雇用も緊急事態宣言の影響で延期したため、次年度に実施する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Increases in Biogenic Volatile Organic Compound Concentrations Observed after Rains at Six Forest Sites in Non-Summer Periods2020

    • 著者名/発表者名
      Miyama Takafumi、Morishita Tomoaki、Kominami Yuji、Noguchi Hironori、Yasuda Yukio、Yoshifuji Natsuko、Okano Michiaki、Yamanoi Katsumi、Mizoguchi Yasuko、Takanashi Satoru、Kitamura Kenzo、Matsumoto Kazuho
    • 雑誌名

      Atmosphere

      巻: 11 ページ: 1381~1381

    • DOI

      10.3390/atmos11121381

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 低温期における森林の揮発性有機化合物濃度の上昇要因2021

    • 著者名/発表者名
      深山貴文、山野井克己、溝口康子、安田幸生、森下智陽、野口宏典、岡野通明、小南裕志、吉藤奈津子、高梨聡、北村兼三、松本一穂
    • 学会等名
      第132回日本森林学会大会
  • [学会発表] 森林内の揮発性有機化合物濃度の季節変動特性と気象要因の関係性2021

    • 著者名/発表者名
      深山貴文、山野井克己、溝口康子、森下智陽、野口宏典、安田幸生、岡野通明、小南裕志、吉藤奈津子、高梨聡、北村兼三、松本一穂
    • 学会等名
      2021年日本農業気象学会全国大会

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公開日: 2021-12-27  

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