森林の水・物質循環研究において,従来から水の安定同位体や溶存イオン等がトレーサーとして用いられており、近年では森林を含むクリティカルゾーンの環境動態解析に広く応用されている。一方で,福島原発事故後に放射性セシウムの環境動態研究が飛躍的に増加したものの,森林での物質循環トレーサとしての利用可能性は未だ調査されていない。本研究課題においては,福島事故由来の放射性セシウムと天然放射性核種の森林環境動態を通じて,大気-森林-雨水-土壌間のシームレスな水・物質循環を定量的に解析できる可能性が示され,森林物質循環解析のツールとして国内外の森林水文・生態学のさらなる発展に寄与することが期待される。
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