研究課題/領域番号 |
20K06142
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小田 あゆみ 信州大学, 学術研究院農学系, 助手 (40571609)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 窒素同位体比 |
研究実績の概要 |
本研究では、森林の重要な窒素源の一つとされながら低温環境下での利用実態が明らかでない硝酸態窒素について、微量同位体比分析技術を用いて植物葉の液胞中に蓄積された硝酸態窒素の有無とその由来について複数の樹種および生育環境下で調査することを目的としている。これにより、これまで土壌中の存在量が少なく、通常の分析では検出が難しかった硝酸態窒素の樹種ごとの利用実態を明らかにし、北方林樹木の生産性に関わる土壌からの窒素吸収モデルを精緻化できる可能性がある。 調査地として北方林の南限付近で複数の北方林構成樹種が混交するモンゴル北部の森林地域を対象としていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、調査地を日本の山岳地帯に変更して実施している。山岳地帯の標高差を利用し、様々な生育環境下から複数の樹種を対象とすることができている。これまでの調査により、樹種ごとに葉の液胞内に存在する硝酸態窒素量に違いがあるほか、硝酸態窒素の吸収利用は樹種特性や生育環境による違いがあることが明らかになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航が難しくなったため、樹種構成が類似する山岳地域の樹木を対象に研究を進めている。その中でもいくつかの重要な知見が得られており、計画は順調に遂行されていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度のため、これまでの研究成果をまとめ、研究発表や論文化を行う。同時に、課題の中心である硝酸態窒素の測定法についてさらに研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度末に信州大学のキャンパス間で出張を伴う分析実験の計画があったが、新型コロナウイルス感染症の感染が急拡大し、延期となったため、その旅費が次年度使用額となった。翌2022年度に繰り越したが、感染の状況が改善されたため、2022年4月中にこの旅費を使用した。
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