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2021 年度 実施状況報告書

高山植生の環境適応性と脆弱性評価に向けた樹木の光・水・窒素獲得と利用特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06147
研究機関京都大学

研究代表者

鎌倉 真依  京都大学, 農学研究科, 研究員 (40523840)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード高木限界 / 標高傾度 / 資源獲得・利用 / 生理生態 / 環境脆弱性
研究実績の概要

今年度は、長野県の中央アルプスに位置する将棊頭山において、標高2,650mに生育するハイマツの当年葉の光合成特性に関する測定を行った。このハイマツ帯では、2018年から渦相関法による正味CO2・H2O交換量の連続観測が行われている。これまでにフラックスデータの解析から、飽差が高くなると群落コンダクタンスが低くなっていること、また気温が10℃以上になると最大カルボキシル化速度が飽和することなどが明らかになっている。
7月末に個葉ガス交換の日変化を測定した結果、ハイマツは飽差が高くなっても比較的高い気孔コンダクタンスを維持しながら光合成を行っていた。また、7月、9月、10月に採取した葉の分析から、当年葉は9月半ばまでに成熟していたが、葉の窒素含量は降雪前の10月上旬まで増加していたこと、また葉の積算的な水利用効率の指標となる炭素安定同位体比は、9月にもっとも低くなっていた。
安定同位体比から分かる水利用効率に関しては、葉の成熟後、蒸散の盛んな9月に水利用効率は最も低かったが、9月に比べ、10月は水利用効率が少し高くなっていた。これは、10月は、9月よりも低温で日射量が少ないため蒸発散量が少なかったが、葉の窒素含量が大きく光合成能力が高いため、水利用効率が高くなったのではないか、と推察した。
また、昨年までの研究成果である、北アルプスに位置する乗鞍岳の森林限界(標高2,500 m)に共存する4樹種の光合成・水利用特性に関しては、学術誌に論文を投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度も、新型コロナウィルスの関係で、野外調査を行う機会は限られていたが、共同研究者の協力を得て概ね予定通りの調査を行うことができた。
また、昨年度までの研究成果の論文化に取り組み、1本を投稿し、もう1本は原稿執筆中である。

今後の研究の推進方策

来年度は、引き続き今年は、中央アルプスの将棊頭山における観測を継続したい。昨年度よりも葉のサンプリング回数を増やし、個葉での水利用効率の変化のタイミングと、群落スケールのCO2・H2Oフラックスの変化がどのようにリンクしているのか、また葉齢によって葉の生理特性がどのように変化するのかについて明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

今年度も、新型コロナウィルスの影響で、 当初予定していた回数の調査を実施することが出きず、繰り越し金額が生じた。来年度も、計画通りの回数の調査を行えない可能性があるため、調査地近くの共同研究者にサンプリングを依頼することで、分析に支障が出ないようにする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 亜高山帯に生育する常緑樹と落葉樹の葉の水利用特性と標高との関係2022

    • 著者名/発表者名
      髙木優哉、鎌倉真依、東若菜、小杉緑子、高橋耕一、牧田直樹
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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