研究実績の概要 |
日本が打ち上げたL-band SAR衛星ALOS-2による日本域での高頻度観測は、森林伐採検出に適しているHV観測ではなく、HH偏波モードのみで行っている。当初予定していた、日本域で0.8ha以上の伐採域を年5-6回の頻度で検出するために、テクスチャや、もう一歩進んだ深層学習を用いて検出を試みた。その結果、埼玉県で検出精度が4.7%(従来からよく用いられている、後方散乱係数の変化を用いた手法)から89.2%に改善され、伐採未検出の割合も56.3%となった。このアルゴリズムを埼玉県以外の宮城県や宮崎県でも試したが、埼玉県で得られた結果より悪い結果しか得られなかった。原因としては、伐採が起こった場所でも、HH偏波で得られたテクスチャ情報は大きな変化を示さないケースが多く見られた事があげられ、劇的に検出精度を改善できる可能性は低いと判断した。そこで近年、全世界で高頻度観測を行い、無償でデータ入手が可能な光学衛星データ(Sentinel-2)に、深層学習と時系列解析を適用する事にした。そして、日本域で0.25ha以上の伐採域を、4回/年の頻度で行うアルゴリズムを開発した。47都道府県の県毎に、4回/年の頻度で伐採検出を行った結果、2022年の1年間で43,000か所、39,000haの伐採を検出し、日本全国の検出精度の平均値88.6%、未検出割合~50%の精度を達成する事ができた。また、研究成果の公開の一環として、得られた伐採情報を県毎、季節毎に2分程度にまとめた森林伐採ニュースを、YouTube(チャンネル名:AIを使って宇宙から森林変化みつけちゃいました)やツイッター(ハンドル名:ningencr)で配信した。
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