研究課題/領域番号 |
20K06151
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
岩崎 健太 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究職員 (70723047)
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研究分担者 |
下田 星児 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上級研究員 (80425587)
南光 一樹 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40588951)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 防風林 / 風食 / ジャガイモ緑化 / 減風効果 / UAV / 数値地形モデル / 風洞実験 |
研究実績の概要 |
北海道農業研究センター芽室研究拠点(北海道芽室町)のカラマツ耕地防風林(平均樹高11m)が設置された圃場において、現地観測を実施した。防風林からの距離が異なる7地点で風速を観測し、そのうち5地点で土壌水分・地温・日射量の観測とジャガイモの収穫調査を実施した。防風林から最も離れた地点では、飛土量を連続観測した。5月12日と6月4日に、RTK-UAVを用いた空撮を実施した。空撮画像から数値地形モデルを作成し、風食前後の畝の高さの変化量を求めた。品種は、ポテトチップ原料の主要品種であるトヨシロとスノーデンを用いた。両品種間ではイモの着生位置が異なり、トヨシロの方が浅い。高さ2mの1分間平均風速が5m/sを超えると、風食が起こり始めた。風食発生日の強風時における平均風速は、樹高の3~5倍風下の地点で、樹高の14倍風下の地点に比べ、31~33%低下していた。畝の高さの低下量は、防風林の減風域は約0cmであったのに対し、防風林から離れた地点では1cm以上の場所が多く存在した。イモの緑化割合は、スノーデンでは防風林の影響は認められなかったが、トヨシロでは防風林の減風域で小さかった。この結果から、防風林はジャガイモ緑化リスクを低下させる効果を発揮しており、特にイモが浅く着生する品種で効果が大きいことが示唆された。 風洞内に畝を再現するための型枠と、精密に地形変化を得るためのレーザー距離計を製作し、風洞実験の実施体制を整えた。風乾させた現地土壌を用いて畝を作成し、様々な風速で送風前後の畝の形状を計測した。風速5m/sで畝の風食が始まり、現地観測と整合性のある結果が得られた。 既存データを用いて、防風林の林帯構造(樹高・林帯幅・葉面積密度)と代表地点の気象条件から風下の風速・日射量・地温分布を推定するモデルを作成し、論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り現地観測を実施し、風洞実験の実施体制も整えられたため。
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今後の研究の推進方策 |
現地観測を継続し、気象条件が異なる年のデータを得る。また、UAVで得られた畝の風食量は数cmと小さかったため、今回の方法による測量精度を検証する。風洞実験については、土壌水分条件を変えて実験を実施し、土壌水分の影響をモデルに組み込めるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で複数の出張が取りやめとなったため。繰り越した予算は、現地観測データをさらに充実させるため、主に調査観測機器の追加購入に使用する。
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