研究課題/領域番号 |
20K06154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
齋藤 隆実 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30403108)
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研究分担者 |
秋山 拓也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50553723)
三好 由華 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50781598)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細胞壁 / 弾性的性質 / 水ポテンシャル / 膨圧維持 / 圧力ー体積曲線 / 水分生理 / 引っ張り試験 / メタセコイア |
研究成果の概要 |
体積弾性率は、葉の水分利用の指標の一つである。この値は、葉の細胞の相対含水率の低下に対する膨圧の低下の比として求められ、細胞壁の弾性的性質を表しているとされてきた。しかし、その証拠は広葉樹で示されたのみであった。そこで、針葉樹について葉の体積弾性率の特徴と成り立ちを調べた。 その結果、針葉樹は広葉樹と比べて体積弾性率が小さく、引っ張り試験による細胞壁の貯蔵弾性率も小さかった。貯蔵弾性率は約60℃で顕著に低下し、この温度付近で多量の成分が水中に溶出した。結果から、針葉樹は広葉樹と比べてしおれにくいこと、針葉樹・広葉樹ともに約60℃で変性する成分が、細胞壁の弾性率に深く関与していることが考察された。
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自由記述の分野 |
樹木水分生理生態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義として、葉の水分利用における細胞壁の物理的性質の役割についての知見を深めたことが挙げられる。調べた針葉樹の体積弾性率は広葉樹より低かったことから、針葉樹の水分利用が保守的であることが示唆された。また、針葉樹・広葉樹ともに約60℃で変性するような要因が、体積弾性率に深く関与していることが示唆された。 社会的意義として、国内の林業の省力化に役立つことが挙げられる。日本の人工林は主に針葉樹で構成されており、それぞれの樹種の水分利用のあり方について深い理解が欠かせない。例えば、植栽する苗木を施設で育成する際に、樹種の葉の細胞壁の性質を踏まえた上で、灌水量や頻度の計画を立てることが可能になる。
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