窒素,硫黄,鉄をドープした可視光応答型酸化チタンをボールミル処理によりスギおが屑に担持し炭素化することで,可視光応答型酸化チタン担持スギ炭素化物を簡便に作製し,水や空気の浄化材として活用することを目的として,炭素化温度等の作製条件が,細孔構造や担持した酸化チタンの分散性等の表面特性,メチレンブルー(MB)の吸着性能および酸化分解性能に与える影響を検討した。 窒素,硫黄,鉄源として炭酸アンモニウム,チオ尿素,ヘマタイトを用い,アナターゼ型酸化チタンと共にボールミル処理し,さらにスギおが屑を加えボールミル処理した後,炭素化することにより,いずれのドーパントでも簡便に可視光応答型酸化チタン担持スギ炭素化物を作製することができた。作製した可視光応答型酸化チタン担持スギ炭素化物には,チタン量として4~25質量%の酸化チタンが担持された。またボールミル処理によりルチル型への転移が促進される傾向であり,アルミナ製ボールミルに比べてステンレス製ボールミルを用いた場合にこの傾向はより顕著であった。 400℃と700℃で炭素化した結果を比較すると,スギ炭素化物の細孔発達およびMB吸着量は700℃の方が大きく,吸着性能が高いことが示された。可視光照射時のMB退色性能はアルミナ製のボールミルを用いて窒素をドープした場合を除き,炭素化温度の影響が小さく,いずれの炭素化温度でも可視光応答性が確認された。アルミナ製のボールミルを用いて窒素をドープした場合は,700℃で炭素化した際にMB退色性能が低下した。これは,ドープした窒素が炭素化時に脱離したためと考えられた。硫黄と鉄をドープした場合は,700℃で炭素化した際もMB退色性能があまり低下しなかった。一方すべての可視光応答型酸化チタン担持スギ炭素化物のフェノールに対する吸着性能は確認されたが,可視光照射下におけるフェノール分解性能は認められなかった。
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