イオン液体として1-ブチル-3メチルイミダゾリウムクロライド([BMIM])を用いた。今年度はイオン液体回収条件が、回収([BMIM]の性能におよぼす影響を検討した。 室温[BMIM]処理に使用した回収[BMIM]処理パルプ添加シートの乾燥・湿潤強度はそれぞれ4.08 kN/m・0.22 kN/mであるのに対し、加熱処理に使用した回収[BMIM]は2.61 kN/m ・0.12 kN/mであった。これより、室温[BMIM]処理に使用した回収[BMIM]の乾燥・湿潤強度が増加した。 加熱処理におけるバージン[BMIM]の乾燥・湿潤強度に対する回収[BMIM] 乾燥・湿潤強度の低下率は、それぞれ54%・76%であった。一方、室温処理の場合の乾燥・湿潤強度の低下率は、それぞれ31%・24%であり、紙力強度の低下率が減少した。これらの結果は、[BMIM]処理を室温で行うことで回収[BMIM]のセルロース溶解能低下が抑制された結果と考えられる。 今年度は加熱しない処理方法として、ゼオライト脱水法および再結晶法を検討した。ゼオライト脱水法は、ゼオライトを用いて、イオン液体中の水分を吸収させる方法である。再結晶法は純度の高いイオン液体を生成させる方法である。加熱脱水法によって回収した[BMIM]を使用した場合の乾燥強度および湿潤強度は、それぞれ3.34 kN/m 0.15 kN/mであった。一方、ゼオライト脱水法および再結晶法によって回収した[BMIM]の乾燥強度・湿潤強度は、それぞれ4.71 kN/m・0.18 kN/m、4.49 kN/m・0.20 kN/mであり、加熱脱水法と比較して、乾燥・湿潤強度が増加した。 加熱せずにパルプをイオン液体で処理し、加熱せずにイオン液体を回収することにより、回収イオン液体の性能を維持できることが明らかとなった。
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