研究課題/領域番号 |
20K06168
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
栗本 康司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (60279510)
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研究分担者 |
渋谷 栄 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (50404851)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バイオ炭 / 工業分析 / 炭素貯留 / 木炭 / タケ炭 |
研究実績の概要 |
炭素貯留効果を算出する算定式がIPCCの改良報告書に記載(2019年5月)されるとともに、J-クレジット制度においても「バイオ炭の農地施用」に関する方法論(2020年9月)が策定された。現時点では、炭素貯留量の算出に、施用する炭化物(バイオ炭)の標準値を用いているが、日本においてはJIS M 8812に従って測定した工業分析値を炭質の評価に用いてきた経緯から、JIS法で得られる値を用いて炭素貯留量を見積る手法を新たに検討した。 針葉樹(アカマツ)及び広葉樹(コナラ)の標準炭を350-900℃の範囲で調製し、工業分析、元素分析、有機態炭素分析を行った。併せて、国内で生産された黒炭(10試料)、粉炭(7試料)を収集し同様の分析を行った。また、400-800℃で調製したタケ炭とともに市販のタケ炭(13試料)に対しても同様の分析を行った。 得られた工業分析(固定炭素、揮発分)の結果から、炭化物の調製温度および有機態炭素量を推定する換算式を木炭およびタケ炭でそれぞれ作成した。また、工業分析の固定炭素から、100年後に残存する炭素と有機態炭素との関係式を得た。 最後に、これらバイオ炭に関して、工業分析値から炭素貯留量を見積るための係数を3つの温度域(>600℃、450-600℃、350-450℃)に分けて求めた。さらに、それぞれの温度域とバイオ炭の種類に応じて、各係数に至るまでの経路をフローチャートに示し整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木材および竹材を原料に標準となるバイオ炭を調製するとともに市販炭を収集して特性解析を進めた。得られた工業分析値を用いて、バイオ炭の調製温度および有機態炭素量を推定する換算式を作成することが出来た。更に、IPCCの定める100年後の炭素貯留量も工業分析値を用いて推定する換算式を得た。 現在、行われているバイオ炭を用いた炭素貯留量の算出はガイドラインに従った標準値を用いており炭質の違いが反映されていない。しかしながら、本研究で得られた関係式から、炭質と炭素貯留量の関係が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、標準となるもみ殻炭を調製するとともに国内で生産されているもみ殻炭を収集して有機態炭素や工業分析を行う。併せて、工業分析値を用いた炭素貯留量推定式を得る。また、ガス化炉で得られる各種炭化物を収集し特性評価を行うとともに、これらに由来するバイオ炭の工業分析値からの炭素貯留量推定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの発生状況により予定していた研究計画を一部修正した。本年度では計画を修正し、予算を適切に使用する予定である。
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