固体の加硫ゴム材料に対する微生物分解は、これまで極めて限定的であるとされてきたが、本研究から市販の加硫ゴムシートでも重量減少と著しい物性低下を伴って劣化分解を引き起こす木材腐朽菌シハイタケが自然界から見つかった意義は大きい。不可逆的な反応とされる加硫ゴム中の硫黄の結合が、菌の作用で部分的にでも切断されていれば、廃ゴムを再生ゴム原料に戻すリサイクルプロセスに大きく役立つ可能性がある。また、菌の分泌する成分の中にテルペン油によるゴムの軟化を加速させる物質の存在が示されたことは大きな発見であり、廃ゴムの物理的な粉砕による原料ゴム化と、それを使った再資源化に大きく役立つことが期待される。
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