研究課題
基盤研究(C)
計4年間の長期的なモニタリング調査により、天然環境下における各種捕食者によるエゾアワビの食害の程度、およびその季節的・経年的な変動を明らかにした。これまでエゾアワビ稚貝の重要な捕食者として想定されていたヒトデ類は天然環境下でエゾアワビをほとんど捕食しない一方、特に高水温期においてはマダコによる捕食量が増加するなど、捕食者の種や季節、年によってエゾアワビの生残への影響が大きく異なることが明らかになった。
資源生態学
水産重要種であるエゾアワビの生残に各種食害生物が与える影響について明らかにしたことは、本種の資源管理において重要である。また、これらの食害生物の餌生物組成を明らかにしたことは沿岸岩礁域における生態学的研究に寄与するものである。加えて、特に水温がエゾアワビへの食害に影響していることが分かり、地球温暖化に伴う海水温の上昇が、エゾアワビへの食害を含めた海洋生物の種間関係に影響を及ぼす可能性を提示したことは重要である。