研究課題/領域番号 |
20K06181
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石川 輝 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00273350)
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研究分担者 |
松岡 數充 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (00047416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 有毒渦鞭毛藻 / アレキサンドリウム・タマレンセ / シスト / 発芽 / 栄養細胞 / 伊勢湾 |
研究実績の概要 |
アレキサンドリウム・タマレンセ(現在名はアレキサンドリウム・カテネラであるが、ここでは旧名のまま使用する)は麻痺性貝毒を産生する有毒渦鞭毛藻であり、国内外において広く二枚貝類の毒化を引き起こす極めて危険な生物である。本種はその生活史の一時期に海底上で生残するステージであるシストを形成するので、プランクトンとして遊泳している栄養細胞個体群の形成機構を解明するためには初期細胞群発生のタネとなるシストの発芽動態について把握することが必須である。本研究では、これまでも本種が度々発生している伊勢湾を研究対象海域として、本研究代表者が以前開発した現場でのシスト発芽細胞を直接捕らえることができる器具(Plankton Emergence Trap/chamber:PETチャンバー)を用いて、本種シストの現場海底からの発芽量を実測し、また栄養細胞群集の季節消長を追跡することで、その個体群形成機構を解明することを目的としている。 調査は三重県松阪港内(伊勢湾の西側沿岸に位置する)に停泊中の三重大学大学院生物資源学研究科附属練習船・勢水丸をプラットフォームとして利用し、そのデッキ上で2020年2月より毎月一回、継続して行った。2021年3月までの調査期間中にPETチャンバーにより得られたサンプルを観察した結果、2020年2月~4月と2021年3月に現場海底上において本種シストの発芽が実際に起こっていたことが明らかとなった。今後、栄養細胞群集の季節消長についても解析を進めることにより、海底からのシストの発芽が栄養細胞個体群形成に対して、どのタイミングでどの程度寄与しているかについて解明していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現場ではおおむね天候に恵まれ、ほぼ予定通りの調査を実施することができた。また、サンプルの処理も比較的順調に進んでいる。これまでのところ、本研究の遂行において大きな支障は発生していない。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきたPETチャンバーによる現場海底からの発芽細胞の捕捉調査と、採水による栄養細胞の季節消長追跡調査、また海洋観測といった現場調査を今後も毎月継続して行う。また、すでに得られたPETチャンバーサンプル中の発芽細胞と海水サンプル中の栄養細胞の観察と解析を進める。さらに、培養実験により、アレキサンドリウム・タマレンセのシストの発芽に及ぼす水温の影響ならびに栄養細胞の増殖に及ぼす水温と塩分の影響についても調べる。これらにより、現場における本種のシストの発芽と栄養細胞の出現との関係を詳細に明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体は予定通り進んでいるが、端数が未使用額として残ったので、これを次年度に行う顕微鏡観察に使用する消耗品に充てる予定である。
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