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2021 年度 実施状況報告書

養殖候補種の稚仔期の成長を支える餌料解明のための分子生態学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20K06183
研究機関広島大学

研究代表者

若林 香織  広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20725147)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード摂餌生態 / 養殖 / DNAメタバーコーディング / 資源回復
研究実績の概要

水産有用魚介類はしばしば生態系の高次捕食者に位置付けられ、その餌料生物の把握は資源保護の観点で重要である。また、稚仔期の摂餌生態が未解明であるために養殖技術の開発が進展しない種にとっては、天然環境での食性が養殖用餌料/飼料の開発を支える基礎的な知見となる。本研究は、DNAメタバーコーディング法と安定同位体比測定を組み合わせることで、水産有用甲殻類であるウチワエビ類をモデルとして、天然での食性を高解像度で理解することを目的としている。
ウチワエビ類が利用する天然餌料を把握するために、漁獲直後のエビから放出された糞粒を採取し、COI遺伝子領域をマーカーとするDNAメタバーコーディング法を用いて、試料内に認められる餌料生物を可能な限り下位の分類群まで同定した。現在までに、8個体のウチワエビからバーコーディングの結果を得ている。複数種の魚類、エビ類、イカ類が検出された。ウチワエビは動きが遅く、海底を匍匐して生活するため、生きた状態のこれらの動物を襲撃するというよりは、海底に沈んだ斃死個体を見つけて捕食しているのだと考えられる。また、1個体のウチワエビの糞粒からイソギンチャクの一種およびクラゲの一種が検出された。一方、オオバウチワエビは2個体について解析を終えており、イカ類とクラゲ類をそれぞれ確認した。ウチワエビ類は幅広い動物性タンパク質を餌料として利用しているようであり、時には刺胞動物をも食べる機会捕食者であることが明らかになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ウチワエビ類の推定生息域での調査を年間に複数回実施する計画をしていたが、新型コロナウィルス感染拡大により実施できなかった。糞粒の採取には、調査予定域とは別の場所で漁獲された成体ウチワエビ類を使用した。

今後の研究の推進方策

採取した試料を用いてDNAバーコーディングの解析を進める。また、新型コロナウィルス感染拡大に落ち着きが見られた場合は、推定生息域での調査を再開する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は主に試料の採集に費やしたため、次世代シークエンサーを利用する解析に必要な費用の拠出が小さかった。次年度は主に、今年度収集した試料の解析を実施する。

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公開日: 2022-12-28  

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