研究課題/領域番号 |
20K06201
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
米山 和良 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (30550420)
|
研究分担者 |
高橋 勇樹 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (00761701)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 画像認識技術 / カルマンフィルタ / 魚群 / 移動追跡 / ステレオ画像計測 |
研究実績の概要 |
本研究では, 深層学習を用いた魚体の画像認識技術を確立させ, 魚群の3次元行動の自動計測手法を構築することを目的としている。目的を達成するために、①魚体の画像認識アルゴリズムの開発を2020年度に実施し、②個体レベルでの3次元行動の自動計測手法を2021年度に確立し、③複数個体(群)の3次元行動の自動計測手法を2021ー2022年度に確立することを当初の予定としていた。 しかし、新型コロナウイルス感染症の発生のため、2020-2021年度に予定していた養殖現場での現地実験を実施できなかったことから、2021年度より計画を変更した。当初では、魚群の3次元行動計測を、養殖マダイ、養殖マサバを対象とした養殖場での現地実験を実施する予定だったが、2021年度からは実験室で行えるニジマス、サクラマス、キタムラサキウニを対象とした実験に切り替えた。 ①として、魚体認識アルゴリズムの確立を目的として、実験室で飼育している2次元平面を移動するキタムラサキウニを対象に、事前学習済みディープニューラルネットを転移学習させた深層学習 (YOLO v3) による画像認識技術の構築を行った。魚体認識アルゴリズムによる追跡が間欠的な未検出(欠損値)を発生させることから移動追跡が十分に行われなかったため、欠損値を埋めるためのカルマンフィルタによる移動経路の推定と補間を行った。②ステレオ画像計測による3次元計測のアルゴリズムの構築を行い、ニジマス、サクラマスそれぞれ5個体を対象に手動による魚体検出で3次元遊泳軌跡の計測を行った。画像認識技術をつかった魚群の追跡までは実施出来なかった。本研究の進捗状況は、当初予定していた魚群の計測が叶わなかったことから遅延しているが、画像認識技術による移動物体(キタムラサキウニ)の追跡と手動計測による複数個体の3次元行動計測のアルゴリズムを構築することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症によって、初年度に予定していた現地試験の実施がかなわず、計画変更を行ったため、約1年遅れで作業が進んでいる状況である。ただし、2年度は生物を使用した行動計測が実施でき魚体認識手法とその事後処理による経路の推定、自動ではなく手動ではあるが3次元計測を実施できたことから、「やや遅れている」の判断とした。最終年度の3年目では達成目標には到達できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度も新型コロナウイルス感染症の発生状況は大きく改善されない可能性があるため、引き続き、計画変更によって対象を変えたサクラマスやニジマスを使用した実験を計画している。2022年度内に新型コロナウイルス感染症の状況がおさまる場合は、当初予定としていたマダイとマサバや重要養殖種であるブリなどの水産重要種を対象に魚群行動研究の現地試験を検討する。 いずれにしても、まずは、実験室で実施できる飼育魚、サクラマス、ニジマスなどのマス類を対象とした3次元の魚群行動計測を、2021年度に確立した画像認識技術をつかって自動計測することを試みる。また画像上で重畳する個体はステレオカメラのステレオ視により分離して、個別に追跡可能か試みる。 当初予定の①魚体の画像認識アルゴリズムの開発は2022年度で確立できたことから、②個体レベルでの3次元行動の自動計測手法を2022年度の上半期に実現し、③複数個体(魚群)の3次元行動の自動計測手法の構築については2022年度中に実現できるように計画変更して対応する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度の使用額に変更が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症の発生による2020-2021年度の研究計画に変更が生じ、アルゴリズム構築用に計算機を導入したが、大半を占めていた旅費が使用されず次年度への繰越されたことによる。2021年度の助成金を2022年度に繰越し、2021年度に実施する予定だった研究も2022年度中に実施するように計画する。
|