研究課題
東北震災海域における藻場造成,磯根資源生産力の回復・向上を目的として,当該海域に様々な技術を提供してきたが,効果の発現に乏しかった.その中で唯一,海藻の着生が認められた「基質吊り下げ法」を考案(特許準備中)し,ウニの行動特性に着目した高密度にウニが生息する場でもコンブ場を造成し,両者の共生を実現する可能性が高いことを見出した.本研究の目的は大きく以下の3つである.①震災海域における磯根資源生産力の回復・向上②ウニによる海藻類の食害対策と両者の共生技術の開発③高齢漁業者向けの安全に操業かつ安定した漁獲が可能な漁場の創出これらを達成する手段として,海藻着生機能および磯根資源増殖機能を有する構造物を対象海域に沈設し,モニタリング調査を継続的に行うことで海藻の着生状況,磯根資源の食害状況を把握しながら対策案を検討した.本研究では,申請者らが取得している特許をシーズにして,安定した海藻の移植が困難であった現状に対して,従来にない小型軽量化の着脱可能な基質を装備し,母藻にダメージを与えることなく所定の場所に簡単に移植可能な技術の活用による藻場,漁場造成を試みた.また,構造物設置や防波堤整備等による物理場の変化と生物資源の分布状況,行動特性との関係を定量的に解明し,当該海域の特性に応じたゾーニングを行い,浅場の母藻群落形成と高齢漁業者用の採貝漁業場創出のための提案を行った.これまで現地で準備してきた実機構造物に,ウニの摂食圧抑制のための基質として新たに考案した「物干し竿式吊り下げ法」により設置し,海藻種糸を装着した後,海藻の生長とウニの蝟集状況を定量的に評価した.その結果を基に,新たに経済性に優れた浮上式基質投入法を考案し,海藻の幼体期から成体期における生長量をモニタリングし,AIを用いて海藻の適正な移設時期と基質投入のタイミングを決定した.
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
土木学会論文集B3(海洋開発)
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