研究課題/領域番号 |
20K06211
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
奥田 潤 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (90334276)
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研究分担者 |
坂井 貴光 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(南勢), 主任研究員 (50416046) [辞退]
末澤 千草 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90331868)
河東 康彦 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(南勢), 研究員 (90634220)
中川 徹優 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(南勢), 研究員 (40884656)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Edwardsiella piscicida / III型分泌機構 / 機能未知エフェクター候補遺伝子 / 結合宿主因子 / 感染制御 / ワクチン |
研究実績の概要 |
前申請研究(基盤 C、16K07849)で、申請者らは E. piscicida の III 型分泌装置に着目し、2つの機能未知エフェクター候補遺伝子がヒラメの病原性に大きく関与することを明らかにした。 本申請研究では、ヒラメに対する病原性が著しく減弱化した2つの機能未知エフェクター候補遺伝子ノックアウト株を生菌ワクチンとして利用することで、E. piscicida によるヒラメのエドワジエラ症の新規の予防法の開発を目指したいと考えるが、これまで申請者らが用いてきた2つの機能未知エフェクター候補遺伝子ノックアウト株には生菌ワクチンとして利用するには、大きな問題点があると思われる。すなわち、この2つのノックアウト株は薬剤耐性遺伝子を含むトランスボゾン挿入変異株であることから、トランスポゾン挿入変異株でなく、薬剤耐性遺伝子を含まない完全なin-frameノックアウト株を作製し、ヒラメに対する生菌ワクチンとしての可能性を検討する必要がある。 本年度は、薬剤耐性遺伝子を含まないin-frameノックアウト株の作製に着手し、ノックアウト株の作製に必要な標的遺伝子を削除した遺伝子断片の、自殺ベクターへのクローニングを完了した。 今後は、接合により標的遺伝子を削除した遺伝子断片を含む自殺ベクターをE.piscicida野生株に移し、相同組み換えを起こさせることで、最終的なin-frameノックアウト株の作製を完了させる予定である。 また、本申請では、ヒラメ由来の cDNA ライブラリーを構築し、両遺伝子について yeast-two hybrid 法による結合宿主因子のスクリーニングを再検討する予定であるが、今年度はcDNAライブラリーの構築に必要なヒラメ由来のRNAの精製についても着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
E. piscicida の2つの機能未知エフェクター候補遺伝子のin-frameノックアウト株の作製に、従来の大腸菌の自殺ベクターを用いた方法が適用可能なことが報告されたことから (Edrees A et al, J Fish Dis, 2018)、申請者らも従来、緑膿菌で用いてきた大腸菌のin-frameノックアウト法 (Okuda J et al, Infect Immun, 2010) を E. piscicida のノックアウト株作製に適用している。ただ、緑膿菌とE. piscicida では完全に同じ実験方法で進めることは難しい局面が生じるため、E. piscicida 用に工夫を重ねながら進めている。そのため、当初予定していたよりもノックアウト株の作製に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
E. piscicida の2つの機能未知エフェクター候補遺伝子のin-frameノックアウト株の作製を、出来るだけ早期に完了させたい。ノックアウト株の作製が完了次第、分担者が所属する増養殖研究所にノックアウト株を送り、ヒラメを用いた感染実験を行う予定である。また、ヒラメ由来の cDNA ライブラリーを構築し、両遺伝子について yeast-two hybrid 法による結合宿主因子のスクリーニングを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたよりもE. piscicida の2つの機能未知エフェクター候補遺伝子のin-frameノックアウト株の作製に時間を要していることが大きな理由となっている。ノックアウト株の作製だけに集中していることから、使用額が予定額より低くなった。 今年度は、先ずはノックアウト株の作製を早急に完了させ、完成したノックアウト株を用いたヒラメの感染実験を含めた他の実験にも出来るだけ早く着手していきたい。
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