| 研究課題/領域番号 |
20K06213
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| 研究機関 | 東海大学 |
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研究代表者 |
西川 淳 東海大学, 海洋学部, 教授 (10282732)
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| 研究分担者 |
広瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 教授 (30241772)
垣内田 洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40343660)
酒井 大輔 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10534232)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | クラゲ / 表皮微細構造 / 厳密結合波解析 / 光反射 / クリオネ / ゾウクラゲ / プランクトン |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、クラゲ類（刺胞動物）、クシクラゲ類（有櫛動物）、サルパ類（被嚢動物）、軟体動物など様々な分類群に属し生息域の異なるゼラチン質プランクトンを対象とし、それらの外皮組織の性状、表面微細構造および光学的特性を、複数の手法を駆使して多角的かつ網羅的に解析し、そのことにより、ゼラチン質プランクトンにおける外皮の構造、物性、光学的特性についての類型化を行い適応意義を考察することを目的とする。
二年目である本年度は、調査船等を用いて、様々な海域、深度帯でゼラチン質プランクトン試料の採集を実施した。特に、ゾウクラゲ類（軟体動物）については、新たに試料を得ることが出来た。また、オホーツク流氷科学センターの協力を得て紋別沿岸にて浮遊性軟体動物の採集を実施した。得られた試料について、外皮組織の物性計測と透過型および走査型電子顕微鏡による体表の微細構造および表面構造の観察を行った。さらに、一部の種について、外皮の光屈折率をアッペ屈折計および分光エリプソメトリーを用いて計測した。得られた外皮の微細構造をモデル化し、厳密結合波解析(RCWA)を用いて海水中での体表における光反射のシミュレーションを実施した。その結果、ミズクラゲおよびハダカカメガイにおける屈折率、ゼラチン質動物プランクトンにおける組織の硬さに関する網羅的情報、浮遊性軟体動物に関する表面微細構造および光学的特性などに関する知見が得られた。ゾウクラゲ類では3種について表皮の表面構造の観察を行なった。さらに、ヒレハダカゾウクラゲについては、銀色を呈する内臓核皮質の構造を観察し、これは細胞性の多層構造で構成されており、Bragg反射器として機能していることがわかった。各層の厚さや間隔の計測をもとに光反射シミュレーションを実施し、本構造が銀色の光沢を持つ仕組みについて検討した。成果の一部は、論文1本、学会発表1件として公表された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で思うように採集や解析ができない中ではあったが、年度終わりにメンバーの国内出張が可能になり、特に軟体動物について、ある程度試料採集と計測を行うことができた。また、これまでの成果の一部を論文として公表できた。ハダカゾウクラゲ内臓核の反射構造とその解析についても、2022年度に学会発表・論文投稿を行うべく準備を進める。
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| 今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で研究者同士の直接的な交流が制限される状況も予想されるが、まず試料の採集について可能な限り種数、分類群数を増やしたい。特に、有櫛動物、軟体動物、被嚢動物について試料を得ることを優先的に考えたい。現在、水族館等と協力して試料の入手について計画を進めている。表皮構造の観察については固定試料が得られ次第、透過型電子顕微鏡による体表微細構造の観察を行い、ナノ構造の情報蓄積を進める。屈折率計測については、引き続きアッべ屈折計による多波長の屈折率計測を行う。また、試料の微細領域の反射率を測るため、顕微分光反射測定系の構築を検討する。さらに、フォースゲージによる硬さ計測や、分光光度計による吸収スペクトルの計測も生鮮試料が利用できる条件で実施する。微細構造と屈折率のデータをもとに体表の光反射シミュレーションを行う。生態・微細構造・光学解析のそれぞれを専門とする研究メンバーが分野横断的に本研究を通して得られた知見を検討し、ゼラチン質動物プランクトンの表皮構造における光適応について、総括を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、当初予定していた旅費がより少額になったため。翌年度については、試料収集および解析のための出張を多く予定している。また、論文公表に関わる費用について支出を予定している。
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