研究課題/領域番号 |
20K06217
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
古島 靖夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), グループリーダー代理 (90359159)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多波長励起式撮影装置 / 蛍光画像 / 海洋生物マッピング / 環境計測 / 環境影響評価 |
研究実績の概要 |
簡便・安価に海洋生物(藻類やサンゴ)が発する蛍光を多波長で画像として捉え、その結果を基に生物判別や健康度が広域的に把握できる海洋生物マッピングと環境計測の基盤技術を構築することが本研究の目的である。 COVID-19の影響により、令和2年度、3年度は、4種の励起光(多波長励起の機能)を有する多波長励起蛍光撮影装置の設計と開発に時間を費やした。令和5年度には、多波長励起撮影装置を用いて現場撮影試験(筑波大学下田臨海実験センター屋外水槽、近隣海域、西海区水産研究所屋外水槽等)を行った。また、小型ROVに本装置を搭載し、広域における撮影試験を試みた。小型ROVを用いた海底マッピング試験は、筑波大学下田臨海実験センター付近海域と2022年11月に石垣島で開催されたサンゴ礁学会における自由集会時のデモンストレーションとして実施した。この試験を通じて、ROV搭載時のバランスや走行性の問題など改善すべき点を洗い出すことが出来た。 本研究の当初計画では、令和4年度を最終年度とし、開発した多波長励起蛍光撮影装置による画像データを蓄積し、多波長蛍光画像の基準化手法を構築すると共に海洋生物マッピングへの有効利用を考慮した研究成果の取りまとめを行なう予定であった。しかしながら、装置開発の遅れなどにより、蛍光画像データの取得が大幅に遅れ、多波長蛍光画像の基準化手法の構築に着手できなかった。そこで、令和5年度まで本研究の期間を延長し、蛍光画像解析の専門家を交えて蛍光画像の蓄積と画像処理法を提示することとした。また、本装置が近底層における混合環境を可視化するためのツールとして利用できるか、海洋生物イメージングとモニタリングを実施する装置として製品化できるか否かを研究所や民間企業で試験運用してもらい精査することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では、最終年度の令和4年度に、本研究で開発した多波長励起蛍光撮影装置を用いて、多波長励起による海洋生物の蛍光画像を蓄積すると共に、多波長蛍光画像の基準化手法の構築と生物マッピングを行い研究成果を取りまとめる予定であった。 しかしながら、これまでのCOVID-19の影響により、現場での撮影試験等の調整が困難であったり、装置の不具合が生じた際の技術者との連携や機器の調整に時間を要したりしたため、データの蓄積が進まなかった。それにより、多波長蛍光画像の基準化手法(画像処理法)の提示に至らなかった。また、開発した多波長励起蛍光撮影装置を小型ROVに搭載し撮影試験を行ったところ、バランスや走行性の問題など改善点が発覚した。この点も、研究進捗が遅れた理由の1つである。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、主宰したサンゴ礁学会の自由集会時に多くの議論をして頂いた理科学研究所の蛍光画像解析の専門家の先生を交えて、蛍光画像の蓄積を進める共に、蛍光画像の画像処理法を提示することとした。 また、本装置が近底層における混合環境を可視化するためのツールとして利用できるか、海洋生物イメージングとモニタリングを実施する装置として製品化できるか否かを研究所や民間企業で試験運用してもらい精査することとした。 蛍光画像の取得については、装置を大学や研究所、民間企業に渡し、試験運用をしてもらえるように上記集会で議論を進めた。
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次年度使用額が生じた理由 |
筑波大学下田臨海実験センターへの出張旅費、研究成果投稿料等を計上していたがCOVID-19の影響と調査日程の調整が出来なかったこと等により使用しなかった。 令和5年度は、残額を小型ROVの改造、理化学研究所、民間企業(いであ沖縄)、筑波大学下田臨海実験センターへの出張旅費、サンゴ礁学会等の学会参加費等の成果公表に充当する。
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