研究実績の概要 |
本来は海外協力研究者であるデンマーク工科大学のオーレセン教授より実験系を導入する予定であったが,新型コロナの影響により海外出張が出来なかったため,先ず文献等を基にVHSウイルスが鰓上皮細胞を通過する時間を測定する実験系を導入した。次いで当初の計画通り淡水魚としてアマゴ,海水魚としてマダイに対し遺伝子型の異なる13種類のVHSウイルスの病原性を感染試験により調べた。アマゴへの試験おいて,陽性対照魚種であるニジマスでは遺伝子Ia型で50%の累積死亡率を示したが,アマゴのIa型の累積死亡率は10%であった。そこで,ニジマスとアマゴの鰓上皮細胞におけるIa型 VHSウイルスの通過をウイルス接種0,2,6,24,48,72時間後で調べたところ,ニジマスでは48及び72時間後では検出用のEPC細胞で細胞変性効果(CPE)が観察されたが,アマゴでは72時間後でもCPEは観察されず,アマゴの鰓上皮細胞はニジマスのそれにIa型VHSウイルスの通過時間が遅いことが示唆された。つまりニジマスとアマゴでは毒性を示すウイルス型と鰓上皮細胞のウイルス通過時間との間に関連性のある可能性が推察された。なお,マダイではいずれの遺伝子型でも死亡は観察されなかった。さらに世界的にVHSウイルスの診断に用いられているモノクローナル抗体(IP5B11抗体)のエピトープを他のラブドウイルスの次世代シーケンサーによるフルゲノム解析と合成ペプチドのドットブロット法により明らかにした。 なお,担当者は異動のため本課題の遂行が困難となったため,令和2年度のみで廃止することとなった。
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