研究課題/領域番号 |
20K06228
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
長富 潔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40253702)
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研究分担者 |
平坂 勝也 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 准教授 (70432747)
吉田 朝美 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (80589870)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 活性酸素生成系 / 酸化ストレス / プロモーター / 転写制御因子 / 魚病細菌 / flagellin / 培養細胞系 / 免疫応答 |
研究実績の概要 |
本研究では主にマクロファージ培養細胞系を用いて、E.tarda強毒株flagellinによるマクロファージの免疫応答、活性酸素生成系の食細胞NADPHオキシダーゼのタンパク質間相互作用、誘導型NO合成酵素(iNOS)の転写制御機構の解析、並びに細胞内シグナル伝達経路を明らかにすることを目的とした。
本年度は、E.tarda強毒株及び弱毒株由来組換えflagellin等刺激に伴う細胞内ROS、NO及び炎症性サイトカインTNF-αの産生能を検証した。その結果、E.tarda生菌及び組換えflagellin刺激に伴いRAW264.7細胞内でSODの基質であるO2-の産生誘導並びにNOとTNF-αの培養上清中への産生が確認された。同時に、リアルタイム定量PCR (qPCR)によりiNOS及びTNF-α mRNA発現量の有意な上昇も確認された。また、欠失ミュータントを用いたヒラメCu,Zn-SOD遺伝子プロモーター領域の解析結果より、組換えflagellin刺激に伴う転写活性化に関わる発現調節部位は、NF-IL6認識配列 (-202/-194) 及びC/EBPα認識配列 (-106/-102) であると推定された。更に、ゲルシフト解析によりNF-IL6認識配列 (-202/-194)と細胞由来の転写因子との結合性を検証した結果、特異的なシフトバンドが検出された。このことからNF-IL6はヒラメCu,Zn-SOD遺伝子の発現調節部位に結合し、転写調節に関与する主要な転写因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒラメiNOS遺伝子プロモーター領域のクローニングはやや遅れている状況であるが、E.tarda生菌もしくは組換えflagellin刺激に伴う細胞内ROS及び炎症性サイトカイン産生能の検討並びにヒラメCu,Zn-SOD遺伝子の転写制御領域の解析ではいくつか新知見が得られており、現在、これまでの成果を取りまとめて1編投稿準備中である。従って、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
食細胞NADPHオキシダーゼ構成タンパク質に対する特異抗体を用いたウェスタンブロット法とフローサイトメトリー法により、タンパク質間相互作用を検証していく。更に、MAPキナーゼに対する特異的インヒビター等を用いて細胞内シグナル伝達系の検討も進めていく。
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