研究課題/領域番号 |
20K06236
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
小林 征洋 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (30511753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パルブアルブミン / アレルゲン / エピトープ / 魚類 / IgE反応性 |
研究実績の概要 |
パルブアルブミンは魚類共通のアレルゲンであり、患者のIgE抗体が結合するIgE結合エピトープは類似すると考えられている。これまでに数魚種でポリペプチド鎖状上の一次構造エピトープが報告されているが、いずれも魚種間で共通性がない。我々はこれまでに、マサバパルブアルブミンのエピトープを構成するアミノ酸残基が、一次構造上では断続的に点在し、折りたたまれると集結してエピトープが出現することを明らかにしている。これら残基は多くの魚類で同一または同じ性質のアミノ酸であるみられるが、マサバパルブアルブミンと同じ立体構造エピトープを有することは確認できていない。エピトープの解析にあたり、既知の配列が筋肉で発現しているアイソフォームであるかを明らかにする必要がある。アレルゲンデータベースに登録されているすべてのパルブアルブミンのアミノ酸配列の系統解析を行い、遺伝子座が明らかになっている既知のパルブアルブミンの配列のアイソフォームと比較した。その結果、硬骨魚類でアレルゲンとなるパルブアルブミンはpvalb1からpavalb4のいずれかのホモログに該当することが判明した。これらのホモログは筋肉で高発現するタイプであった。アレルゲンとはならない硬骨魚類のパルブアルブミンはpvalb5からpavalb10に分類された。一方、軟骨魚類、両生類、爬虫類でアレルゲンとなるパルブアルブミンはpvalb6およびpvalb7にコードされていた。これらの結果から、魚類とその他の生物のパルブアルブミン抗原交差性が低い、または示さない理由は遺伝子タイプの違いによると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験を実施できる人員に限りがあったため。
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今後の研究の推進方策 |
マサバ以外の魚種もマサバと同じエピトープを持つことを証明するため、マサバ以外の魚種についてパルブアルブミンのエピトープと推定する領域のアミノ酸を変異させてIgE反応性が低下するかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が想定より進展せず、予定していた実験を行うことができなかったため。
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