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2021 年度 実施状況報告書

GFP-クローンギンブナを用いた魚類獲得免疫機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06243
研究機関日本大学

研究代表者

森友 忠昭  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20239677)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード魚類 / 液性免疫 / 細胞性免疫 / 細胞移植
研究実績の概要

本研究では“緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)を全身に発現させた,GFP-トランスジェニック・クローンギンブナ(GFPクローン)”を用いる.すなわち,特定の抗原で感作したGFPクローンの白血球を非GFPクローンに移植することで,魚類の獲得免疫に必要なリンパ球などの構成や,これらリンパ球が反応する場である免疫関連組織などを明らかにするものである.そのため,以下の2項目に関して検討した.
1)GFPクローンの繁殖:我々は“トランスポゾン転移システム”により,GFP遺伝子を奥尻島産クローンギンブナ(OB1)系統のクローンギンブナの卵にマイクロインジェクションし約半分の数の白血球が光るGFPクローンギンブナの作製に成功している.そこで,このF0魚から採卵し,41尾のGFP陽性F1魚を得た.また,これらF1魚の血球をフローサイトメトリーにより解析したところ,白血球はすべてGFP陽性であるが赤血球と栓球は陰性であることがわかった.
2)免疫感作個体からの白血球移植による獲得免疫の伝達:ギンブナは雌性発生により子孫を残すため,同系群はすべて同じ遺伝形質を持つクローンである.そのため,同系群間で細胞移植しても拒絶は起こらず生着する.そのため,KLH(貝ヘモシアニン)を頻回免疫することで得られた感作個体から魚類の2次リンパ器官である腎臓より,白血球を回収し,別の個体に移植し,移植個体にKLHで感作したところ,非移植個体に比べ,早く抗体価の上昇が見られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記の2つの項目においては概ね成果が得られた.しかし,魚類の獲得免疫の成立に必要な細胞を同定するには,移植細胞を選別・移植する必要がある.そのためには,ヘルパーT細胞,キラーT細胞およびIgT陽性B細胞などのリンパ球亜集団を認識できるモノクローナル抗体の作製が必須である.現在までに,ギンブナCD4-2,またはCD8α分子をラット細胞株(NRK細胞,OM系ラット由来)に強制発現させた後,ラット(Wister系)に免疫し,定法に従いハイブリドーマクローンを得たが,いずれも強制発現させたラット細胞株を認識する抗体は得られたが,目的分子対する抗体は得られなかった.

今後の研究の推進方策

上述のように,移植細胞を選別するためのモノクローナル抗体の作製には成功していない.すなわち,アロ抗原(NRK細胞)を認識するモノクローナル抗体は得られたが,目的抗原(魚類CD4およびCD8)に対する抗体は得られなかった.そこで,抗原をより強く発現するNRK細胞をセルソーターで分取・選択培養し,従来どおりWistar系ラットに免疫する.また,アロ抗原を認識するクローンを減らすため,同系間の免疫を行う.具体的にはF344系ラットの細胞株(MSK細胞)に抗原を強制発現させ,これをF344系ラットに免疫するなどする予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件)

  • [雑誌論文] 魚類の免疫機構2022

    • 著者名/発表者名
      森友忠昭・片倉文彦
    • 雑誌名

      日生研たより

      巻: 622 ページ: 3-12

    • 国際共著

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公開日: 2022-12-28  

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