クルマエビの血リンパ液中に存在する抗ウイルス応答関連因子のうち抗微生物性ペプチド群の挙動を把握することを目的として、その因子の特定や検出系の構築を試みている。 これまでに抗ウイルス応答を誘導したクルマエビの血リンパ液中にC型リゾチームを,血球において抗菌ペプチドとして知られる抗LPS因子の増加を認めた。そこで,抗LPS因子に対するペプチド抗体を作製し,イムノアッセイによる検出系の構築を試みた。 しかしながら,今回作製した抗体による検出は特異性が低く,抗LPS因子を検出するには至らなかった。そこで,抗ウイルス応答を誘導したクルマエビの血球からRNAを抽出し,網羅的遺伝子発現解析による当該因子の遺伝子検出を試みた。 解析の結果,抗LPS因子と推定されるコンティグが6つ確認され,少なくとも血球において6つの抗LPS因子が発現していることが明らかとなった。また,抗ウイルス応答を誘導した区での遺伝子発現量は対照区と比較して,いずれも有意に高い値となった。 以上の事から,抗ウイルス応答に関わる抗微生物性ペプチドとして,抗LPS因子が重要な役割を担っていると推察された。
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