本研究では、効率的な不活化ウイルスワクチンの産生を目的として、ゲノム編集技術を利用してウイルス複製阻害因子をノックアウトした培養細胞株の樹立を試みた。マダイイリドウイルスの培養に用いるイシガキダイ由来の培養細胞を用いた遺伝子発現解析の結果、免疫応答に関わる遺伝子群がウイルス複製の阻害に関与している可能性が示唆された。これらの情報を元に、2種類の遺伝子を対象にCRISPR-Cas9システムによる遺伝子のノックアウト試験を実施した。当該遺伝子をノックアウトした細胞を約1カ月間は維持できたが、細胞の増殖速度が非常に遅かったためノックアウト細胞のウイルス感受性を評価するまでには至らなかった。
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