本研究の目的は,農畜産物の多様な消費行動の背景に存在する意思決定方略について社会心理学,応用倫理学の知見を取り入れて定量的に明らかにすることにあった。 主な研究成果は以下の3点である。第1に畜産物消費への「生命倫理的抵抗感」および環境に悪影響との認識「環境破壊的評価」を示す消費者の組織培養肉のWTPは高まる。第2に社会心理学における環境配慮行動の規定因と同様の因子構造が動物福祉に関する意思決定方略に存在する。第3に伝統的倫理学説に依拠して消費者のアニマルウェルフェア畜産物への消費背景を定量的に分析した結果,「手段的価値の重視」「苦痛軽減の重視」「生命中心主義的価値の重視」が因子として存在する。
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