研究課題/領域番号 |
20K06256
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木南 莉莉 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40272132)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 共有価値創造 / LCA(潜在クラス分析) / 混合研究法 / 認知革新 / 創造的思考 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本国内の都市を対象に社会的起業家精神が都市農業ビジネスを通じて、地域の課題を解決し、共有価値の創造を引き起こすメカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めている。今年度に進めた研究内容を大きく3点に分けることができる。 第1に、都市住民へのアンケート調査結果に潜在クラス分析(Latent Class Analysis: LCA)を適用し、イノベータータイプ、フォロワータイプ1と同タイプ2と、固定タイプの4つのクラスに分けることができることを明らかにした。また、これまでに実施した都市農業のソーシャルビジネスの事例分析結果をもとに、組織学習による認知革新と共有価値創造の視点から、その発展メカニズムのパターンを類型化し、漸進型、急進型、ジレンマ型の3つのタイプに分けることができることを示した。 第2に、日本の農業生産者(都市部と農村部を含む)に対するWebアンケート調査を実施し、生産者の農業経営、起業意識、社会的企業、創造的思考、社会関係資本などに関する意識と行動を把握した。また、別途企画した農業法人に対するアンケート調査票に都市農業におけるソーシャルビジネスの特定が可能な質問項目を追加し、都市農業経営の定量的な分析のためのデータ収集を進めた。 第3に、都市農業のステークホルダーの認知革新に関する新たな分析枠組みを構築し、混合研究アプローチによって、これまで実施してきた量的分析と質的分析に関する日本と中国の比較分析の結果を総合化し、英文書籍として執筆を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は予想通り生み出されている。なお、新型コロナの感染拡大防止のため、当初計画したとおりの現地調査は実現できなかったが、計画を一部見直すことで順調に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
①収集した都市農業に取り組む農業法人の定量的データの結果を解析する。 ②都市農業ソーシャル・ビジネスの現地調査(事業者・運営者・利用者・行政)を実施し、実態と普及課題、ビジネスモデルの類型を明らかにする。 ③共有価値創造に取り組む都市のフードシステムの関連事業者へのアンケート調査を実施し、その発展メカニズムを明らかにする。 ④社会的インパクト評価のための理論モデルを構築するとともに、ロングテール市場の創出の課題を整理する。 ⑤研究成果の積極的な発信(日本語・英語)を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、年度前半に都市農業(屋上農園)に関する現地調査を予定していたが、新型コロナの感染拡大防止のために実現できなかったためである。また、国際学会発表(前年度の延期開催分を含む)と国内学会発表が全てオンラインでの開催となったためである。 都市農業における共有価値の創造に関するアンケート調査と都市農業ソーシャルビジネスの現地調査及び成果発表・発信のために使用する予定である。
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