研究実績の概要 |
本研究の目的は、①家族経営で3ha以上の経営面積を有する取組、②3haの経営面積に至らないが、優れた技術力と経営力で概ね1,000万円以上の売上を上げた取組、③各種のコンクールや品評会等で受賞し、「匠」と言われる見本・手本的な取組、④農業法人・会社、地域法人等優れた組織的、地域的取組等高水準の有機農業を対象に、取組の経営実態、化学農薬・化学肥料に代わる代替農法の構成およびその経営・環境効果、消費者獲得・販路形成の実態と今後動向、組織的・地域的取組に到達するまでのプロセスや継続していくための条件等を家族経営、企業的経営、組織的・地域的取組の3つの側面から実証的に解明することを目的とする。研究遂行によりこれまでの研究を前進させると共に、低迷している国内有機農業の打開策づくり、情報基盤整備、関連学術分野の研究発展に寄与することである。
22年度(最終年度)の研究遂行は、1、2年目ほどではないが、新型感染症の拡大による出張の自粛要請および厳しい海外渡航制限等から大きな影響を受け、多くの県外調査や海外調査は中止せざるを得なかった。しかし、一部の現地調査を実施したことや、これまでの調査研究で培われてきた人的ネットワークと膨大な資料蓄積を活かすことにより、相応の成果を上げることができた。①数件の現地調査やリモート調査を実施し、柑橘作・水田・畑作における高水準有機農業の実態解明を行った。その結果は、学術論文3本、著書2冊(うち、単著1冊)を公表した。②2020年農林業センサス調査で捉えた「有機農業に取り組んでいる」約69,000農業経営体のデータを分析し、果樹作における有機栽培の進展や特徴に関する論文を公表した。③これらの成果を自治体の有機農業計画づくり、条例改定、先進農家の選考、各種研究会や関連学会での発表・講演等に活かし、研究成果の地域還元・社会還元を行った。
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