研究課題/領域番号 |
20K06267
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中島 隆博 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 上級研究員 (60446474)
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研究分担者 |
石川 葉子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 上級研究員 (70502938)
飯泉 仁之直 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (60616613)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際プロトコル / 気候区分 / 収量ギャップ / 土地利用 |
研究実績の概要 |
本研究では、国際プロジェクト「The Global Yield Gap Atlas (GYGA)」に準拠して、わが国における主要作物の収量ギャップを推定する。収量ギャップとは、日射量や気温等によって規定される潜在収量と農家実収量との差、つまり、収量の改善余地ないし未到達の作物生産能力をあらわす。これは産地のスクリーニングをはじめとする戦略的な土地利用方策の立案にとって重要な指標であるものの、食料自給率の向上や水田の高度利用といった政策的に重点がおかれる場面での利活用には至っていない。そのため本研究ではGYGAプロトコルを通じて得られたデータをもとに、わが国における将来的な土地利用の可能性を提示することを目的としている。
令和2年から3年度にかけて、GYGAで規定されている気候帯が水稲に適した産地のスクリーニングに有用であることを示す論文を投稿した。その際、論文の査読者から、水稲の農家実収量の解析については一定の評価を受けたものの、収量ギャップ推定に用いた作物生育モデルについては、我々が用いた気象分野で開発されたモデルよりも、作物分野で世界的に広く使用されているモデルを使うように強く勧められた。この指摘を重く受け止め、令和3年度からDSSATを用いた収量ギャップの再検証に着手した。評価が得られた農家実収量の解析については、同手法を他作物にも拡張し、得られたデータを解析している。本課題の核である土地利用評価法の開発部分については、positive mathematical programmingを用いた地域モデルを構築し、わが国における農区別に適用を行った。現在、解析結果を論文にとりまとめており、近日中に投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「5.研究実績の概要」にも記述したように、収量ギャップの再計算に必要な作物生育モデルDSSATの使用習熟に予定外の多くの時間を割いたことに加え、Covid-19の影響により、当初予定していた非常勤職員の雇用を見送ったことから、データ収集・整理の負担が増したことが進捗速度に影響を及ぼした。
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今後の研究の推進方策 |
水稲について、作物生育モデルDSSATを用いた収量ギャップの再検証を実施する。得られた収量ギャップは課題内で開発した新たな土地利用評価法にフィードすることにより、評価法のアウトプットの解析、ひいては評価法自体の評価につなげる。また、水稲から他作物の農家実収量に拡張して得られたデータは論文にとりまとめて投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「7.現在までの進捗状況」でも述べたように、当初予定していた非常勤職員の雇用にともなう人件費が支出できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。次年度使用額は、主に研究論文を出版する際のオープンアクセス費用としての使用を計画している。
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