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2020 年度 実施状況報告書

高齢者の食品選択行動における他者の関与の影響に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K06268
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

山本 淳子  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (00355471)

研究分担者 河野 恵伸  福島大学, 食農学類, 教授 (70355478)
大浦 裕二  東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
清野 誠喜  昭和女子大学, 生活科学部, 教授 (90225095)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード高齢者 / 食品 / 購買行動
研究実績の概要

2020年度は、老年心理学分野を中心に、高齢者の特性および意思決定に関する文献レビューを行った。
高齢者の意思決定の特徴に関する成果の一つとして、Reedら(2008)及びReedら(2013)は、様々な年齢層に対し、医師や病院、薬、自動車、住宅、ジャム等の選択に際して好ましい選択肢数を質問している。その結果、ジャム以外において、年齢と好ましい選択肢数には負の相関があり、ジャムについても中年層(40-59才)の方が高齢者(60才以上)より好ましい選択肢数が多いことを示している。また、意思決定前の情報探索行動と好ましい選択肢数にも関連があることが確認されている。このように高齢者がより少ない選択肢を好むという結果は、選択肢の多さ等に由来する情報過負荷が高齢者においてより発生しやすい可能性を示すものである。しかしこれらの研究成果において、分析対象のうち食品はジャムのみであり、本研究で中心的な対象とする青果物については別途実態調査が必要である。さらに、その際には意思決定時の情報探索行動との関連を把握するのが重要であることが明らかになった。
また、BaltesのSOC理論(高齢者は加齢に伴う機能喪失に対して、目標を限定し(選択)、資源を効率的に配分し(最適化)、喪失した資源を補う(補償)とする理論)に関連して、Hanら(2019)は韓国の高齢女性を対象に、社会及び家族の支援が高齢者のSOC戦略の活用に正の影響を及ぼし、さらにこれらが「サクセスフル・エイジング」にも影響していることを実証的に明らかにしている。この結果は、本研究課題における仮説の一つ(食品の購買行動において高齢者は、失われた認知機能を同行者等によって補い、買い物の満足度を高めている)が妥当である可能性を示すものであり、この分析枠組みを活用していくのが有効であることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本年度は、高齢者の特性および購買行動に関する文献レビューと、高齢者の商品選択行動に関する実態調査(インタビュー、アンケート)を行う計画であった。しかし、新型コロナウイルス流行に伴い研究活動が制限され、対面での高齢者へのインタビューが困難となり、その結果、インタビュー結果に基づき設計するアンケートも実施できなかった。

今後の研究の推進方策

まだ対面でのインタビュー調査が難しい状況のため、オンラインでのインタビューを試みる。多数のモニターを抱える調査会社では高齢層の登録も進められており、実施可能の見込みである。また、その結果を踏まえてネットアンケートを実施する。アンケートでは選択式の設問に加え自由記述の設問を設定し、テキストデータを収集する。
その際、高齢者が健康への関心が高いことを考慮し、当初計画していた青果物の他、健康機能性を有する食品を分析対象に追加する。消費者全般での健康機能性食品の認知構造を把握した上で、高齢者の特徴を分析する。
なお、初年度の計画が完了していないこと、コロナ禍が継続していることを踏まえ、2年目に予定していた店舗での実験的調査は3年目に延期する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの流行により、当初予定していた対面でのインタビュー調査が実施できず、謝金の支出ができなかった。また、インタビュー調査の結果を踏まえて実施予定であったアンケートも実施できなかったため、アンケート実施に伴う委託費用も支出できていない。
2021年度はオンラインでのインタビュー及びアンケートを計画しており、次年度使用額はこれに充当する。

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公開日: 2021-12-27  

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