研究課題/領域番号 |
20K06268
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山本 淳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (00355471)
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研究分担者 |
河野 恵伸 福島大学, 食農学類, 教授 (70355478)
大浦 裕二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
清野 誠喜 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (90225095)
加藤 弘祐 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 研究員 (70825322)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 困りごと / インタビュー / 店舗 / 食品 |
研究実績の概要 |
1.食品購入における店舗内での高齢者の行動とそこでの困難について、インタビュー及びアンケートで用いる質問項目を検討した。 1)先行研究・調査を探索し、日本能率協会総合研究所が2019年に行った「高齢者未充足ニーズ調査2019年」で示された「高齢者が生活の中で直面する57項目の代表的な困りごと」を援用することとした。ここから食品購入に際しての「困りごと」の把握に適用できる項目を抽出するとともに、不足している項目を追加し、身体的・認知的機能に由来する不自由さに関する23問を設定した。 2)試行調査として、高齢者より若い層(50代の男女2名、60代前半の男女2名)4名に上記設問のアンケートを行った上で、それに基づき詳細を聞き取った。その結果①身体的機能に関しては、店舗内の歩行の疲れや、商品棚・パッケージの表示の見づらさ、現金の取り扱いにくさといったことが、すべての被験者で5年前に比べて増加していた。②認知機能に関しては、買い忘れや買い間違いが増加したとする被験者もいたが、身体的機能に比べると問題として認識していない傾向が見られた。③店舗内での各行動の億劫さは各人の買い物の好き嫌い等にも影響を受けていることが示唆された。これらのことから、より高齢の者への適用には、質問項目の絞りこみとともに、認知的機能に関わる困りごとの把握方法をさらに検討する必要があることが確認できた。 2.健康機能性を有する食品の購入に関する高齢者の困難を把握するため、まず消費者一般の認知構造を把握した。アンケートへの回答テキストの共起ネットワーク分析により、消費者は特定保健用食品と機能性表示食品の両制度を混同するとともに、製品が持つ保健機能を誤認している可能性があることが推察された。このため高齢者においても同様の混同、誤認があると推測され、今後分析対象とすることの意義が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高齢者を対象にオンラインインタビュー及びその結果を踏まえたネットアンケートを実施する計画だったが、直接参考にできる先行研究が十分にないことから、対面調査をもとに調査内容を慎重に検討する必要があった。しかし、新型コロナウイルスの流行により、特に高齢者を対象とした対面調査が困難であったため、若い世代を対象とした試行的調査にとどまり、高齢者への調査ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの流行状況を見ながら、直売所での購買実験及びインタビューを実施することを目指す。その際にはまず、商品選択を中心とした店舗内での「困りごと」の把握を優先し、可能であれば、同行者の関与の影響に関する把握も行うこととする。なお、同行者の影響把握については、研究期間を延長して実施することも検討する。 また、店舗内でのデータを取得した後、それを踏まえてWebアンケートを実施し、定量的な検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に新型コロナウイルス流行により全体の進捗が遅れ、そのため当初予定していた高齢者へのオンラインインタビュー及びネットアンケートが実施できなかったため、次年度使用額が生じた。引き続き新型コロナの状況を見ながら、規模を縮小するなどしてインタビューや農産物直売所での購買実験を実施し、そこで少数でもデータが得られれば、それを踏まえたネットアンケートを実施することとし、次年度使用額はこれに充当する。
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