耕地が地理的に様々な場所に散らばる現象、「耕地分散」は、特に大規模農家にとって、生産効率を悪化させる大きな要因である。しかし近年、一部の事例研究では、あえて耕地を分散させることで、その周辺の農地を借り受けやすくして、将来の規模拡大につなげようという農家の存在が指摘されている。本研究ではこうした現象が単なる事例に留まらず、広く一般に見られることを、理論的および実証的に明らかにした。こうした結果は、耕地分散を解消させるには、「耕地を分散させれば規模拡大を実現できる」というメカニズムを断ち切る必要があることを意味し、耕地分散の解消を目指す政策設計において重要な含意を与えるものである。
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