研究課題/領域番号 |
20K06273
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
黄 孝春 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (10234684)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農産物知財 / クラブ制 / アメリカリンゴ産業 / 育成者権 / 商標権 |
研究実績の概要 |
本研究はリンゴ産業におけるクラブ制、すなわち新品種の育成者権と商標権を適用してその生産販売を行う海外の先進事例を調査研究して日本への導入を目指すことを目的としている。 昨年度はアメリカリンゴ産業におけるクラブ制の実践について研究してきた。主に海外発クラブ制のアメリカへの進出とアメリカ国内発クラブ制の導入に分けて分析してきた。アメリカ国内発クラブ制については、州立大学のケースと民間のケースに注目してクラブ制の適用範囲や、運営主体、ロイヤリティなどについて調べていた。その成果の一部は「アメリカリンゴ産業におけるライセンス・ビジネス」という題で『人文社会科学論叢』(第10号、共著論文)に掲載している。アメリカのリンゴ産業におけるライセンス・ビジネスはヨーロッパや大洋州などに比べ、立ち遅れたが、ここに来て急速に動き出した。一番の課題は公的な研究機関である州立大学で開発した新品種を一部の農家だけに限定して栽培の権利を与えることの是非であった。これをめぐって各州で各自の事情に合わせたやり方を模索し、その課題へ対応しようとしていることが明らかになった。 そのほかに、日本における農産物知財の保護活用の実態についてリンゴ関係者へ取材して情報を集めていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はコロナウィルスの影響を受けて現地調査はできなかったが、地元青森県で共通の問題意識を持つ方々の協力を得て、アメリカの業界誌からの情報収集ができたことが大きい。発表した共著論文は共同研究の成果の一部と考えられる。 またこれまでの人脈を活用して、海外の関係者へのオンラインインタビューによる情報収集と意見交換ができたこともよかったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き、地元の関係者の協力、また海外の関係者の協力を得ながら、リンゴ産業におけるライセンス・ビジネスの研究を深化させたいと考えている。 海外の先進事例を研究する一方、青森県リンゴ関係者との研究会を立ち上げ、海外クラブ制の実態を地元の関係者に伝える一方、地元のリンゴ産業におけるクラブ制導入の可能性と課題について検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は予定していた現地調査(国内と海外)はコロナウィルスの影響を受けて実施できなかったことが一番の理由である。 今年度は現地調査を予定しているが、それが実施できなかった場合を想定して、院生アルバイトを活用してインターネットによる文献収集を強化すること、また海外関係者へのオンラインインタビューを増やしていくことなどを計画している。
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