研究課題/領域番号 |
20K06283
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
西野 真由 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (40381743)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農業 / 外国人労働力 / 技能実習制度 / 高度人材 / 送り出し機関 / 受け入れ機関 |
研究実績の概要 |
近年、日本における外国人労働者数は急速に拡大し、多様な産業の担い手となっている。本研究の目的は、日本農業における外国人労働力の役割と地域経済への影響について明らかにすることである。外国人労働力の送り出し国、さらに受け入れ国である日本における現地調査から、日本の外国人材受け入れ制度の運用実態とその課題、外国人労働力が農家、企業経営に果たす役割と地域経済に及ぼす影響について考察を行う。 本年度は、研究1年目にあたり、既存研究のサーベイ、マクロ統計資料の収集及び分析、送り出し、受け入れ機関における調査等予定していた。具体的には、①国内調査では、申請者がこれまで現地調査を実施した農業法人を主な対象に、最新の受け入れ実態、動向について追加調査の実施、②海外調査では、申請者がこれまで現地調査を実施した送り出し機関等を対象に最新の動向について追加調査の実施、③各種関係資料から、外国人労働者受け入れに関する最新の動向についての分析、等である。 2020年度に実施した主な調査は以下の通りである。1.農業における外国人労働力の受け入れについて、これまで現地調査を実施した農業法人等の関係者を対象に、最新の受け入れ実態について、オンライン等でヒアリング調査を実施した。関連する統計資料の分析も行った。日本の農業分野における外国人労働者は技能実習生が中心であるが、今後、高度人材が日本農業においてマネージメントを担う中間管理者として果たす役割と重要性について明らかになった。2.カンボジアの海外への労働力派遣について、関係者へのオンラインでのヒアリング調査を実施した。派遣システム、派遣前教育の実態、日本以外の派遣先地域の状況等について新たな知見を得た。3.日本農業の有する現実的な課題について、鼎談を実施し、取りまとめた。 これらの今年度に実施した研究に基づき、来年度は、さらに研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの本研究の進捗状況について、おおむね順調に進展していると考えている。その理由は、新型肺炎の流行により、調査方法、調査地域に変更は生じたものの、技能実習生と高度人材の受け入れ、送り出しに関わる関係機関へのオンラインでのヒアリング調査等を実施し、さらに、来年度調査に向けての準備、既存研究、マクロ統計資料の収集を行ったことが挙げられる。また、これまでに実施した現地調査結果に最新の動向を加え、農業法人における高度外国人材の受け入れ実態についての研究成果をとりまとめた。 現在、実施した調査結果をもとに論文作成を進めており、来年度は各種学会、研究会での報告を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、農業における外国人労働力の役割と地域経済への影響について、外国人材の主な送り出し国と受け入れ国である日本における現地調査から、外国人材受け入れ制度の運用の実態とその課題を明らかにすることにある。こうした研究目的に基づき、2021年度は、以下の調査等を実施する予定である。1.日本における農業分野の外国人労働力の受け入れ実態について、熊本県、茨城県の農業法人、農家、関係機関へのヒアリング調査を実施する。2.技能実習生送り出し国のひとつであるカンボジアの送り出しシステム、技能実習希望者の実態調査を行う。3.各種関連資料の分析、これまでの調査結果のとりまとめ、論文作成を行う。 本研究は複数地域での現地調査を実施予定であるが、新型肺炎の感染状況、さらに、調査対象企業等の都合により、急に調査が取りやめになることも予想される。その場合は、調査等の実施に関わる関係者の安全に配慮し、本来の研究目的に沿った形で調査方法、調査地域を変更し、対応する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、予定していた国内調査の調査方法、調査対象に変更が生じた。このため5,079円の余剰が発生した。次年度の国内旅費に使用する予定である。
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