研究課題/領域番号 |
20K06291
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
澤田 守 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (60355469)
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研究分担者 |
山本 淳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (00355471)
田口 光弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 上級研究員 (90391424)
緩鹿 泰子 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (90803841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 労務管理 / 人材育成 / エンプロイアビリティ / 能力開発 |
研究実績の概要 |
本年度は、従業員のエンプロイアビリティに関する先行研究についてレビューするとともに、複数の農業法人において従業員の人材育成、及び評価方法などについて実態調査を実施した。特に、六つの農業法人(稲作、園芸作、畜産)において、法人従業員を対象として職務満足度調査を行い、就業環境、労働条件などに関する満足度、及び人材育成施策の満足度について分析を行った。さらに、従業員が想定しているキャリアパスを把握するため、職場への定着意向に関して調査を実施した。調査結果からは、農業法人の従業員の多くは、10年以上の長期にわたり就業意向を持っていることが示された。また、従業員の職務満足度としては、稲作経営においては体力、休日に対して満足度が低い傾向があり、施設野菜では、指示の徹底など、従業員への情報伝達に関して満足度が低い傾向が見られた。この結果から稲作においては、天候などにより農繁期と農閑期の仕事量が大きく異なることが影響していると考えられた。加えて能力開発に関する項目として「職場内の教育や研修に満足しているか」という設問に対しては、調査した法人間で差がみられ、教育や研修活動に積極的な農業法人では、満足度が高くなる傾向が確認された。 また本年度は、コロナ禍によって農業法人の就業環境が多大な影響を受けたことから、農業法人の人材確保、育成に与えた影響について調査を実施した。調査した農業法人においては、契約販売の減少による販売金額の低下、従業員の労務管理の負担増加などが確認されたが、能力開発に関しては、オンラインでの研修機会が増えたことで参加可能な研修機会が増えるなど、プラスの影響が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、県外への出張が難しくなり、予定していた農業法人への経営実態調査が困難になった。そのため、農業法人への実態調査の回数を縮小したため、農業法人の従業員に関する評価基準の把握がやや遅れている。なお、この遅れについては、農業法人の実態調査、及び文献などをもとに関連産業のエンプロイアビリティに関する情報収集を図ることで対応する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、農業法人における従業員の人材育成施策の状況、及び研修、能力開発の状況について調査するとともに、エンプロイアビリティの評価体系について検討をすすめる。また、農業法人経営者、従業員を対象としたエンプロイアビリティに関するアンケート調査については、コロナ禍の状況をみながら、可能な限り実施し、分析を行う。さらに、国内外における他産業を含めたエンプロイアビリティに関する評価基準について情報を収集し、作目別、役職別の評価基準について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、県外への出張が難しくなり、予定していた農業法人調査を縮小したため、残額が生じた。繰り越し額に関しては、農業法人への実態調査、国内外のエンプロイアビリティに関する文献収集、webを用いたオンライン調査のための基盤整備に使用する予定である。
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