研究課題
東京電力福島第一原子力発電所の事故後、多くの公的支援が行われ、放射性物質の飛散が多かった地域においても避難指示が解除され、少数帰村者による営農再開が本格化し、今後農業者が自立でき、持続可能な次世代水管理システムの再構築が重要な課題である。本研究は、福島県浜通りに位置する灌漑地区において、放射性物質の流入防止を目的とした用水路に蓋をかける事業によって、土地改良区の維持管理業務の副次的効果を引き続き調査検討するとともに、野生動物が現れた時に音を発する遠隔監視カメラを蓋かけ事業用水路に設置し、音の三要素と野生動物の忌避行動の関係を検討し、音による追い払いの可能性を確認した。また、小規模土地改良区の職員など農業水利施設の管理者自らが、設置管理でき、水配分に活用できる低コストの遠隔監視システムを引き続き検討し、情報通信技術(ICT)を活用した農業用水の情報共有化システムを改良した。さらに、福島の事例は農村地域の将来の姿を先取りしている可能性があることを認識しつつ、ソウル大学、韓国農漁村公社の協力の下で、2000年より全面的な公的管理に転換した韓国の水管理システムを分析し、公的管理の現状を把握した。そのほか、日本と韓国の水管理制度の相互評価のための共同討議を行った。今後、以上の結果を踏まえ、これまでと同様に調査研究を続き、持続可能な水管理組織への公的支援のあり方を検討し、水管理システムの将来の姿を一つの次世代モデルとして提案する予定である。
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