研究課題/領域番号 |
20K06300
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
阿南 光政 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80782359)
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研究分担者 |
弓削 こずえ 佐賀大学, 農学部, 准教授 (70341287)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 洪水緩和機能 / 農業水利施設 / 防災減災 / 洪水解析 |
研究実績の概要 |
本研究は,ダムに一極集中している洪水対策を農村インフラでクラスタ化することで豪雨災害時の防災対策をアシストする技術の確立を目指すものである.本年度は,対象地区における降雨特性を分析し,氾濫解析における降雨データの取り扱い方法を検証するとともに, 対象地域内の農村インフラを点・面・線に分類し,それぞれの特性を考慮した流出モデルの検討を実施し,農業水利施設個々の洪水緩和機能の評価を行った.まず氾濫発生のトリガーとなる降水量について,量だけでなく降り方の特性を把握するため,平地水田地域の排水系統末端部および内陸部に新たに雨量計を設置した.既存の気象庁観測データに加えて,新たに設置した雨量計のデータから,降雨の傾向と局所性の発生状況を分析するとともに,氾濫解析に用いる降雨の適性検証を行った.また水田や農業用水路による流出の時間差による洪水緩和機能や貯水機能を評価するための数値モデルを構築した.内水氾濫解析のひとつである「池モデル」を基本構造として,農村インフラそれぞれの特性をモデルに反映することで,氾濫水位,流出流量および貯留効果を数値で把握することを可能にした.さらに,平地農業地域の水田群や農業用水路が持つ洪水緩和機能を可視化するため,標高メッシュデータと航空写真データを用いて三次元VRによるデジタル模型を構築した.デジタル模型には内水面を実装することで,実測水位や洪水解析モデルにより出力される計算内水位を反映できるようにした.農村インフラを個々にモデル化したことで,それぞれの洪水緩和機能を明らかになったとともに,本研究の最終目的であるクラスタ型洪水解析モデルのファンクションモデルを揃えることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目となる2021年度は本年度は,対象地区における降雨特性および農村インフラの洪水緩和機能を分析し,それぞれの特性を考慮した流出モデルを構築した.本研究の目的であるクラスタ型洪水解析モデルに向けたベースモデルを構築することができ,計画通り概ね順調に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
過年度に構築した各種農村インフラの流出モデルをベースに流域全体の洪水流出過程を解明するクラスタ型洪水解析モデルを構築する.構築したモデルを用いて,過去の豪雨災害を対象に内水氾濫解析を行い,ダムに一極集中する豪雨対策を農村インフラが持つ洪水緩和機能で分散負担する流域管理手法を提案する.
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