従来品のシーリング材と開発したシーリング材(SR-3)を対象に、硬化確認試験や背面水圧の作用を想定した耐水圧試験、長期水中浸漬後の引張試験、温水浸漬劣化促進試験、促進耐候性試験を実施し、①従来型は23℃と0℃で強度発現に1~2週間程度の差があるものの、SR-3は低温下でも強度発現に差がない、②SR-3が水圧作用時の膨れが最も小さく、若材齢でも止水性が期待できる、③SR-3は水中浸漬後も50%モジュラスや引張強度の低下がほとんどみられない、④温水浸漬劣化促進試験では、従来品は引張強度保持率が20%程度まで低下すると剥離が発生するが、SR-3では引張強度保持率の低下が見られず、従来品と比較して5倍以上の耐久性を有する、⑤SR-3は30年相当の紫外線照射時間でもひび割れを生じない優れた耐久性を有することが確認できた。 SR-3を施工した宮城県内農業用水路2ヶ所の現地確認調査を行い、施工後3~6年経過後も変状が見られないことを確認した。また、大学附属農場内水路の目地にSR-3を施工した箇所に目地伸縮量計測用の変位計を設置し、実水路における目地伸縮(疲労)とシーリング材の変状発生の関係を明らかにするための長期モニタリングを開始した。 本研究の結果、農業用水路用シーリング材の新たな性能評価方法として、①硬化性照査試験(0 ℃で28日間養生後に引張試験、23 ℃および0 ℃条件で14日、28日後の内部硬化深さ確認)、②水中耐久性試験(23 ℃の水中で28日間浸漬後に引張試験、吸水率確認、耐水性確認)、③剥離抵抗性確認のための温水浸漬劣化促進試験(60℃温水浸漬、引張冷却、伸縮疲労を組み合わせて行う複合劣化試験)が有効であることが明らかとなった。
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